司徒

司徒（しと）は、古代中国の官職の一つで、金文では「司土」と記されます。

概要

司徒は西周時代に初めて設置され、三公に次ぐ地位として六卿に相当しました。その職掌は、田土の管理、財貨の管理、そして教育など、国家の根幹に関わる重要なものでした。

前漢においては、丞相が三公の一つとされていましたが、哀帝の元寿2年（紀元前1年）に丞相は大司徒と改称されました。これは官制の変化を示すものであり、司徒の地位がより重要視されたことを示唆しています。

後漢に入ると、建武27年（51年）に大司徒は司徒と改称されました。後漢における司徒は、司空・太尉とともに三公の一つとして位置づけられ、国家の最高位の官職としてその役割を果たしました。

しかし、後漢の献帝の建安13年（208年）6月、曹操が三公制度を廃止し、丞相・御史大夫を置いたことにより、司徒は一時的に廃止されました。これは、曹操による権力集中の一環であり、官制の大きな転換点となりました。その後、後漢から魏への禅譲が行われると、三公制度が復活し、再び司徒が三公の一つとして設置されました。

魏においては、王朗や董昭といった長老が司徒に任命されましたが、他の三公と同様に、さほどの実権はありませんでした。これは、魏の政治体制における三公の地位が、名誉職的な意味合いを持つようになったことを示しています。また、三国時代の一国である蜀漢では、丞相諸葛亮に次ぐ高官として司徒が置かれ、許靖が任命されました。蜀漢における司徒は、丞相を補佐し、国政に参与する重要な役割を担っていました。

司徒の制度は、時代とともにその役割と地位を変遷させましたが、常に国家の重要な職務を担ってきました。その変遷を辿ることは、古代中国の官制と政治史を理解する上で重要な意味を持ちます。

関連項目

相国
丞相
三公
司空
司徒 (姓)
前漢丞相、相国、大司徒の一覧
* 三国相国、丞相、司徒の一覧

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