李周浩 (政治家)

李 周浩（イ・ジュホ）氏は、1961年2月17日生まれの韓国の政治家、経済学者、そして官僚です。慶尚北道大邱市（現在の大邱広域市）出身で、大邱青丘高校を卒業後、ソウル大学および同大学院で国際経済学を学び、アメリカのコーネル大学で経済学の博士号を取得しました。

学術的な経歴としては、韓国開発研究院（KDI）において、責任研究員、副研究委員、研究委員、国際政策大学院副教授、教授など様々な役職を歴任し、国際経済学や教育政策の研究に深く関わりました。また、教育部教育政策審議会委員、教育改革フォーラムの幹事・運営委員、韓国労働経済学会や韓国職業教育学会の理事、韓国女性開発院の諮問委員、韓国教育財政経済学会の学術委員など、多方面で教育・経済関連の諮問や活動に携わりました。コルゲート大学での碩座教授や財団法人汝矣島研究所の理事も務めています。

政界には2004年に進出し、第17代総選挙でハンナラ党の比例代表候補として立候補し、国会議員に初当選しました。議員として教育分野に関心を寄せ、政策提言を行いました。

李明博政権が発足すると、大統領室の教育科学文化担当首席秘書官に就任。その後、2009年1月には教育科学技術部（現在の教育部）の第1次官に任命され、教育行政の実務を担いました。2010年8月からは教育科学技術部長官に昇格し、2013年3月までこのポストを務めました。長官在任中は、教育の自律性と競争の促進を重視し、「高校多様化300」プログラムを推進。自律型私立高等学校や寄宿型公立高等学校、マイスター高等学校の設立・拡大を通じて、学校の自主性を高め、生徒の学校選択の幅を広げようと試みました。また、医学・歯学専門大学院制度に対して、従来の医科大学・歯科大学への回帰を促さず、教授増員や財政的支援を継続する方針を示しました。

一方で、教育部の存在意義に対しては批判的な立場を取り、過去に複数回、教育部の廃止を主張しています。2007年の国会議員時代には、省庁再編の議論の中で、教育に関する権限を中央政府から地方政府や各学校・大学に移譲すべきだと提言しました。2017年には正しい社会運動連合の共同委員長として「教育部の廃止」や「大学の半減」を主張し、2021年にはK政策プラットフォーム理事長として教育部の廃止を提言する報告書を発表するなど、教育行政の中央集権体制に対する改革論を展開してきました。

李明博政権退任後は、国際科学ビジネスベルト委員会委員長、国連グローバル教育財政委員会委員、アジア教育協会理事長などを歴任し、教育・科学技術分野での活動を続けました。2022年6月の地方選挙ではソウル市教育監選挙への出馬を検討しましたが、最終的に辞退しています。

2022年11月7日、尹錫悦政権下で社会副首相兼教育部長官に任命され、再び教育行政のトップに就きました。再任後は、高校の内申評価の絶対評価制への全面転換方針、学校内暴力問題への厳罰主義と幅広い意見収集に基づく対策見直し、人材の医科大学への集中に対する懸念からKAISTや浦項工科大学校への医科大学新設検討案の発表など、様々な教育課題に取り組んでいます。しかし、体験学習用バスに関する政策（黄色いバス問題）や、大学修学能力試験の改編案（深化数学の削除など）については、現場や関連学会からの批判や混乱を招いた側面も見られます。

さらに、2025年5月には、極めて異例の事態により、大統領権限代行および国務総理権限代行を兼務することになりました。これは、2024年12月の非常戒厳を巡る弾劾裁判で尹錫悦大統領が罷免された後、大統領権限代行を務めていた韓悳洙国務総理が次期大統領選挙出馬のため辞任し、さらに後任候補として有力視されていた崔相穆経済副首相兼企画財政部長官も辞任したことを受けた措置でした。憲法の規定に基づき、国務総理、経済副首相に次ぐ国務委員であった社会副首相兼教育部長官の李周浩氏が、後任の大統領および国務総理が正式に就任するまでの間、その職務を代行しました。大統領権限代行は、同年6月4日に中央選挙管理委員会が李在明氏の大統領当選を認定するまで継続されました。

李周浩氏は、その長年のキャリアを通じて、韓国の教育システムとその改革に深く関与してきた人物です。教育部の廃止論を含む彼の提言や政策は、常に議論の中心となってきました。

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