体験学習

体験学習とは

体験学習とは、実際の活動体験を通して学ぶことを重視した学習形態です。社会心理学者クルト・レヴィンが提唱したTグループ（感受性訓練）を起源とし、学習者自身が体験を通して集団の相互作用を学ぶ手法が基盤となっています。教育現場においては、デューイの経験主義に基づき、実体験を通して学習効果を高めることを目的としています。

教育用語としての「体験学習」

教育現場における体験学習は、単なる座学に対する批判としてだけでなく、より深い学びを追求する手段として捉えられています。学習指導要領では、体験活動を豊かな人間形成に不可欠な要素と位置づけ、総合的な学習の時間だけでなく、各教科においても積極的に取り入れるよう推奨しています。また、企業内教育やセミナーなどでも、グループワークなどを通して学習者の体験を重視する傾向が強まっています。

体験学習の類型

体験学習は、その内容によっていくつかの類型に分類できます。

生活体験学習

ボランティア体験、自然体験、職場体験など、日常生活に根ざした活動を通して学ぶ学習です。学習者は様々な価値観に触れ、困難や喜びを経験することで、自己成長を促します。体験そのものだけでなく、振り返り学習を通して経験を昇華させ、活動を評価することが重要です。

計画的体験学習

各教科の学習や特別活動において、計画的に実施される体験活動です。理科の実験や観察、社会科の見学、技能系教科の実習、生徒会活動や学校行事、部活動などが該当します。教科の学習内容に組み込まれているため、学習効果を高めることができます。

追体験的体験学習

過去の体験を振り返り、自己のあり方や生き方を見つめ直す学習です。道徳の時間が代表例で、他者の経験を想像力によって追体験することで、共感力や倫理観を養います。モデリングや読書活動も追体験的体験学習に含まれます。

ねらいと効果

体験学習の最大のねらいは、学習者が自ら気づきを得ることです。体験を通して、何を感じ、どう行動するかというプロセスを重視し、自己理解や他者理解を深め、自己変容を促します。直接的な触れ合いを通して、心の動きや他者との関わり、学習への興味関心を高める効果が期待できます。ただし、単に興味のあることに取り組むのではなく、学習内容との関連性を意識し、明確な目的をもって実施することが重要です。

教育課程上の留意点

体験学習は、単発の活動ではなく、教育課程全体として捉えるべきです。そのため、教職員には広い視野と教育課程編成力、教材開発力が求められます。また、実体験を伴う学習活動は、学校だけでなく、関係機関や保護者、地域住民、企業などの協力が不可欠です。長期的な取り組みが必要であり、各学校の実践からもその重要性が示されています。

社会[[福祉士]]国家試験受験資格のための「体験学習」

社会[[福祉士]]の養成機関では、実務経験のない学生を中心に、実習前に「体験学習」として3日程度の現場体験を課す場合があります。これは、実習先の確保や実習前の準備を目的としたもので、実習の一部と捉えられることもあります。体験学習先によっては、有償で実施されるケースもあります。

参考文献

シリーズ・学校力「自ら学ぶ確かな学力形成力」 ぎょうせい 2005年 ISBN 978-4324075074
最新教育キーワード137 第12版 時事通信社 2007年 ISBN 978-4788707603

関連項目

アクティブ・ラーニング
総合的な学習の時間
学び - 学力 - 確かな学力
問題解決学習
経験
感受性訓練（ラボラトリー・トレーニング）

註釈

外部リンク

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