李彪

李彪（り ひょう）

李彪（444年 - 501年）は、北魏時代の官僚であり、歴史家としても名を残しています。字は道固といい、頓丘郡衛国県（現在の中国河南省一帯）の出身です。

生涯

寒門の生まれであった李彪は、幼くして父親を亡くしました。しかし、貧困の中で学問に励み、その努力を惜しむことはありませんでした。孝文帝の時代に入ると、その学識が認められ、中書教学博士という官職に就きます。

483年（太和7年）には、仮の員外散騎常侍・建威将軍・衛国県子の肩書きを授けられ、南朝斉への使節として派遣されます。その後も484年（太和8年）と485年（太和9年）に斉へ赴き、外交官としての役割を果たしました。帰国後は秘書丞・参著作事に転じ、崔浩や高允らが編年体で著述した北魏の国書を、紀伝体へと再編するという重要な事業に携わりました。この功績により、中塁将軍の号を加えられています。

490年（太和14年）に文明太后が亡くなると、群臣たちは孝文帝に喪に服することをやめ、国政に戻るよう求めましたが、孝文帝はこれを許しませんでした。この時、李彪は高閭や游明根らと共に、孝文帝と激しい議論を交わしました。

491年（太和15年）には、員外散騎常侍の位を加えられ、再び斉への使節として派遣されます。斉では主客郎の劉絵による接待を受けましたが、李彪は宴席での娯楽を辞退しました。そして劉絵と礼について議論を交わし、その見識の高さを示しました。

495年（太和19年）、孝文帝が南征を行うと、李彪は仮の冠軍将軍・東道副将として従軍し、その後まもなく仮の征虜将軍に任じられました。孝文帝が洛陽に帰還すると、李彪は御史中尉に転じ、著作郎を兼任しました。汾州で胡族の反乱が起こると、李彪は持節として鎮撫に当たり、反乱を鎮圧しました。反乱終息後、洛陽に戻り、御史中尉を兼ねたまま散騎常侍の位を受け、著作郎の任を解かれました。孝文帝が流化池で群臣と宴会を開いた際、李沖に対し「崔光の博学と李彪の実直さは、我が国家が賢者を得る基礎である」と語ったとされています。

497年（太和21年）、孝文帝が再び南征を行うと、李彪は度支尚書を兼ね、李沖や任城王元澄らと共に洛陽の留守を預かりました。しかし、豪放磊落な性格の李彪は、李沖らとそりが合わず、また、御史という立場から、自身を弾劾できる者はいないと考え、わがままな振る舞いが目立ちました。そのため、李沖は李彪の不正行為を糾弾する上奏を行いました。孝文帝は懸瓠で李沖の上奏文を読むと、李彪を召喚し、官位と爵位を剥奪し、故郷へと帰らせました。

499年（太和23年）に孝文帝が崩御し、宣武帝が即位すると、李彪は王粛や邢巒らに近づき、官職への復帰を図りました。北海王元詳や王粛の尽力により、李彪は無官ながらも修史の任に就くこととなりました。501年（景明2年）、宣武帝が親政を開始すると、崔光が李彪を旧職に復帰させるよう上表しましたが、宣武帝はこれを認めませんでした。

李彪は兼通直散騎常侍・行汾州事に任じられましたが、自身の望む役職ではなかったため辞退しようとしました。しかし、汾州への赴任は強行され、間もなく病に倒れました。そして、その年の秋、洛陽にて58歳で亡くなりました。死後、鎮遠将軍・汾州刺史の位が追贈され、剛憲という諡号が贈られました。

子女

李志
李婕妤（宣武帝の妃）

伝記資料

『魏書』巻62 列伝第50
『北史』巻40 列伝第28

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