李成梁

李成梁（り せいりょう）

李成梁は、16世紀後半から17世紀初頭にかけて明朝に仕えた武将です。字は汝契、号は引城と称しました。彼の生涯は、遼東総兵として女真族の鎮撫に尽力したことで知られています。その一方で、汚職や専断といった負の側面も持ち合わせていました。

生涯

李成梁は、朝鮮からの移民である李英の子孫とされています。公式見解では、彼の出自は「李成梁は朝鮮族の後裔であり、先祖は四代前まで遡ることができる」とされています。代々、遼東鉄嶺衛の指揮僉事を務めていましたが、1570年に遼東総兵に任命され、女真族に対する防衛の最前線に立つことになりました。

当時の女真族は、建州女直や海西女直など、複数の部族に分かれており、明との交易権を巡って争っていました。李成梁は、この状況を利用して女真族の内部分裂を画策し、遼東の安定に大きく貢献しました。特に、後の清の太祖となるヌルハチは、李成梁の庇護のもとで勢力を拡大していきました。

李成梁は長年にわたり遼東を統括し、地域の実力者として私兵を養い、勢力を拡大しました。しかし、その一方で、軍費の流用などの汚職や専断が横行していたことも事実です。1591年には弾劾されて失職しましたが、治安情勢の悪化により一時的に復職しました。しかし、1608年に再び罷免されることとなりました。

李成梁とヌルハチ

李成梁の庇護を受け力をつけたヌルハチは、後に後金を建国し、明を滅ぼすことになります。李成梁とヌルハチの関係は、明朝の盛衰を語る上で重要なポイントと言えるでしょう。

一族

李成梁には多くの息子たちがおり、その中には万暦朝鮮の役（文禄・慶長の役）で日本軍と戦った李如松や、サルフの戦いに参加した李如柏などがいます。

李成梁の系譜

弟：李成材
子：李如松、李如柏、李如楨、李如樟、李如梅、李如梓、李如梧、李如桂、李如楠

まとめ

李成梁は、明朝末期の動乱期において、遼東の安定に大きな役割を果たしました。しかし、その一方で、汚職や専断といった負の側面も持ち合わせており、評価が分かれる人物です。彼の生涯は、明朝の盛衰を考える上で、重要な要素の一つと言えるでしょう。

参考文献

* 『明史』巻238 列伝第126

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