李如梅

李如梅（り じょばい）

李如梅は、明末の武将であり、字は子清と称しました。遼東鉄嶺衛の出身で、父は明朝の有力な武将である李成梁です。李如梅は父の威光により都指揮僉事に任じられ、武将としてのキャリアをスタートさせました。

軍歴

1592年（万暦20年）、寧夏で哱拝の乱が発生すると、李如梅は兄の李如松に従い、反乱鎮圧に貢献しました。

朝鮮の役

李如梅の名を歴史に刻んだのは、文禄・慶長の役（第一次・第二次朝鮮の役）での活躍です。

文禄の役（1592-1593年）

李如梅は、1592年末に李如松率いる明軍の参将として朝鮮に派遣されました。1593年1月6日には平壌城攻撃に参加し、日本軍から城を奪還するのに貢献しました。その後、日本軍を追撃して南下し、2月26日の碧蹄館の戦いでは、1000人を率いて前線で戦いました。この戦いでは、早朝の遭遇戦で日本軍の先鋒、立花宗茂軍と激戦を繰り広げ、十時惟道に毒矢を命中させる戦果を挙げました。また、正午の戦いでは、李如松が日本軍の将に捕らえられるという危機に陥りますが、李如梅は次兄の李如柏と共に敵を挟撃し、安東常久を射殺することで李如松を救出しました。しかし、戦い自体は明軍の敗北に終わり、平壌まで撤退を余儀なくされました。

慶長の役（1597-1598年）

日本との講和が決裂し、慶長の役が始まると、李如梅は都督僉事を代行し、禦倭副総兵として再び朝鮮に派遣されました。1597年末から経理楊鎬、総兵麻貴の指揮下に入り、明軍13006人を率いて蔚山倭城攻略戦に参加しました。李如梅は騎兵を率いて先行し、伏兵を設けて日本軍を誘い出し、400人以上を討ち取る戦果を上げました。しかし、蔚山城の攻略は失敗し、日本軍の援軍が到着すると、明軍は潰走し、慶州まで撤退しました。

遼東総兵

1598年、李如梅は兄である遼東総兵の李如松が戦死したため、後任として遼東総兵に就任します。しかし、1599年には戦いを恐れているとの弾劾を受け、解任されました。その後、長らくを経て僉書左府として再び起用されました。1613年には、楊鎬によって再び遼東総兵として推薦されますが、朝廷の反対により実現しませんでした。

その他の事績

1596年（万暦24年）には、泰寧衛の炒花・卜言兎が侵攻を企てた際、先手を打って廬帳を襲撃し、100人以上を討ち取る戦果を挙げています。

1597年には、楊鎬と共に塞外に出撃し敵営を襲撃するも敗北を喫し、多くの兵士を失いましたが、自身が重傷を負っていたため、敗戦の責任を問われることはありませんでした。

軍事的な見識

李如梅は、サルフの戦いの直前に朝廷の者から日本兵と満洲兵の強さについて質問された際、「日本兵は体格は小さいが、動きが俊敏で、鉄砲の扱いが上手い。しかし、一対一の戦闘では、日本兵30人でも満洲兵1人には敵わない」と答えています。この発言は、当時の軍事的な状況や兵士の特性を捉えたものとして、歴史的に重要な意味を持っています。

まとめ

李如梅は、明末の動乱期に活躍した武将であり、朝鮮の役で大きな戦果を上げた一方で、遼東総兵としては不遇を託ちました。しかし、彼の軍事的な見識や戦場での活躍は、後世に語り継がれるべきものです。

参考資料

* 『明史』巻238 列伝第126

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