李綱 (天順進士)

明代の官僚、李綱の生涯

李綱（り こう、生年不詳 - 1479年）は、明代に活躍した官僚であり、字を廷張といいました。彼の出身は済南府長清県です。李綱の生涯は、幼少期の不思議な出来事から始まり、官僚としての輝かしい業績、そしてその死まで、多くの物語に彩られています。

幼少期の奇跡

幼い頃、李綱は父に従って北京へ行きました。ある時、彼は誤って車の下に落ちてしまったのですが、車が彼の体を轢いて通り過ぎたにもかかわらず、不思議なことに全く傷一つ負いませんでした。この出来事は周囲の人々を驚かせ、李綱の生涯には特別な力が宿っているかのように感じられました。

官僚としての道

1457年（天順元年）、李綱は進士の試験に合格し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。最初に任じられたのは御史という役職で、彼はその職務を忠実に果たしました。その後、南直隷巡按、浙江巡按と、重要な役職を歴任しました。特に浙江巡按時代には、400人以上もの汚職官吏を弾劾し、その厳格な姿勢から「鉄御史」と称されるようになりました。この異名は、彼の正義感と不正を許さない強い意志を象徴しています。

軍事と行政での活躍

李綱はその後、陝西延綏地域の兵の編成を任され、軍事面でもその能力を発揮しました。1467年（成化3年）に北京に召還された後は、太僕寺少卿に転じ、馬政を監督しました。この時も、彼は役人からの贈答品を全て退け、その清廉潔白な人柄を示しました。冀州を巡按した際には、盗賊に遭遇したものの、彼が「太僕の李公」であることを知った盗賊は、「どうして彼から金銭を奪えるだろうか」と言い、何もせずに逃走したという逸話も残っています。

晩年の活躍と死

1477年（成化13年）には右僉都御史に昇進し、1478年（成化14年）には左僉都御史に進みました。晩年は運河の水運を監督し、平江伯陳鋭と共にその事務にあたりました。しかし、1479年（成化15年）6月戊子、李綱は志半ばでこの世を去りました。

李綱の人物像

李綱の生涯は、彼の強い正義感と職務への真摯な姿勢を物語っています。幼少期の奇跡的な出来事、汚職官吏の弾劾、軍事や行政での活躍、そして晩年の水運監督まで、彼は常に与えられた職務に全力を尽くしました。彼の「鉄御史」という異名は、その厳格さと不正を許さない人柄を今に伝えています。李綱の生涯は、明代の官僚の模範として、後世に語り継がれるべきでしょう。

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