李義方

李義方の生涯

李義方（イ・ウイバン、1121年 - 1175年）は、高麗の武臣で、武臣政権の初代執権者として名を馳せました。彼の本貫は全州李氏であり、その生涯は数々の権力闘争と反乱に満ちていました。

李義方は全州の名家に生まれ、兄に李俊儀、弟に李璘・李琚を持ちましたが、彼の若い頃についての詳細はほとんど不明です。しかし、軍に加わり、早くから武人としてのキャリアをスタートさせたと考えられています。

彼が注目されたのは、庚寅の乱の際の毅宗24年（1170年）でした。この時、李義方は国王の親衛隊である牽龍軍を指揮しており、毅宗が開京の普賢院に出かけるのを機に大将軍の鄭仲夫と共にクーデターを計画、成功を収めて武臣政権を樹立しました。政権を掌握した後、彼は反抗する文官を排除し、毅宗を廃位させ、明宗を擁立しました。李義方は新政権で重要人物として、大将軍と殿中監を兼任し、壁上功臣としてその肖像が王宮に描かれる栄誉を享受しました。

その後、李義方は権力を強化するべく、重房の地位を高め、文官と武官の意見調整を図りました。また、地方官職に下級武官を登用し、軍部を懐柔しながら権力基盤の強化に努めました。しかし、権力を持つ者には常に反対勢力がつきまとい、李義方の位置は不安定となりました。明宗3年（1173年）には文官の金甫当によって反乱が発生し、李義方は毅宗を殺害し、反乱者を粛清しました。

翌年には、僧侶による大規模な反乱が発生し、それに対抗する李義方は自ら出陣し、僧侶たちを打ち破ったものの、権力への不満が影響し、彼の兄からの叱責を受けたり、内紛も引き起こしました。同年3月には娘が太子妃に選ばれましたが、権勢の強化を警戒した鄭仲夫との関係も悪化しました。さらに、趙位寵による反乱に直面することになり、李義方はそれを鎮めるために出征します。

最終的に、李義方は政権の維持に全力を尽くしましたが、彼の権力は他の武臣たちとの対立によって揺らぎました。1175年12月、鄭仲夫の子・鄭筠に暗殺されることになり、その後彼に連なる一族や支持者たちも命を落とし、彼の権力は崩壊しました。彼の死後、弟の李璘は故郷に帰り、家門を守ることとなります。李義方の末裔については、モンゴル侵攻を経て一族が高麗を裏切る運命をたどり、最終的には李成桂が朝鮮王朝を建国するという説も存在しますが、検証は不十分なままです。

このように、李義方の人生は権力と反乱にまみれたものでした。彼が高麗の歴史に与えた影響は決して小さくなく、後世においてもなお論じられる人物として記憶されています。

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