李裕

李裕（り ゆう）

李裕は、中国・唐王朝の皇族であり、第22代皇帝である昭宗の長男として生まれました。元の名は祐といい、母親は積善太后です。唐末期の混乱期に、一部の宦官勢力によるクーデターによって一時的に皇帝に即位しましたが、その帝位は短期間で終わり、正史においては歴代皇帝として数えられていません。哀帝の同母兄にあたります。

生涯

李裕が皇太子となったのは、乾寧4年（897年）2月のことでした。しかし、光化3年（900年）11月、宦官の劉季述らによるクーデターが発生し、父である昭宗が廃位されるという事態に見舞われます。これにより、皇太子であった李裕が擁立され、新たな皇帝として即位することになりました。

しかし、その治世は長くは続きませんでした。翌天復元年（901年）正月には、反対勢力の宦官らが蜂起し、昭宗が復位を果たします。その結果、李裕は退位を余儀なくされ、皇太子の座からも降ろされ、徳王へと降格されました。

その後、天祐2年（905年）2月、李裕は父である昭宗を殺害した朱全忠によって洛陽に呼び出されます。弟である棣王李祤や李禊・李禋・李禕・李祕・李祺・李禛・李祥らと共に、宴席に招かれましたが、これは偽りの宴でした。宴の最中、朱全忠が放った刺客によって、李裕は兄弟もろとも絞殺されてしまいます。彼らの遺体は、近くの九曲池に投げ込まれたと伝えられています。

李裕の生涯は、唐王朝末期の混乱を象徴するかのようです。皇族として生まれながらも、権力争いに巻き込まれ、短期間の皇帝の座を経験した後、非業の死を遂げました。彼の短い生涯は、唐王朝の衰退と滅亡へと向かう時代の悲劇を色濃く映し出しています。

李裕の正確な生年は明らかではありません。父である昭宗の生年（867年）と同母弟である哀帝の生年（892年）から推測すると、880年代または892年以前に生まれた可能性があります。しかし、いずれにしても、激動の時代に翻弄された人物であったことは間違いありません。

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