李輔 (成漢)

李輔の生涯

李輔（り ほ、? - 303年）は、西晋時代の武将であり、字は玄政と称されました。巴氐族出身で、今の甘粛省秦安県の略陽郡臨渭県で生まれました。彼の父は東羌の猟将であった李慕で、弟には後に成漢を建国することになる李特や、李庠、李流、李驤などがいます。また、子どもには李忠などがいました。

勇敢な武将としての姿勢

李輔はその生涯を通じて、勇敢かつ卓越した武力の持ち主として知られています。元康6年（296年）、氐族の斉万年の乱が発生すると、彼の出身地である略陽や天水などの地域からは多くの民が食料を求めて益州へと避難しました。李輔の一族もその避難に加わりましたが、彼自身は略陽に留まる決断をします。

反乱と戦争の時代

永康元年（300年）、益州地方の刺史である趙廞が反乱を起こしました。弟の李庠をはじめとする家族はこの乱に加わり、威寇将軍として任命されます。一方で、李輔は蜀へと移動しました。この反乱の結果、趙廞は李庠とその子である李弘を殺害し、李特などは恐れをなし、李輔を督将として任命します。彼は李特や李驤とともに部下の士気を高める役割を果たしました。

趙廞の乱が収束すると、朝廷は故郷に戻るよう流民に命じました。李輔はこれを受けて、流民たちに帰還を促す任務を受けました。しかし、李特と出会った際、彼は「中国は混乱しているため、帰る必要はない」と助言しました。これに対し、李特も深く共感し、蜀の地にしっかりと根を下ろす決意を固めることとなりました。

軍の指揮と戦果

李特が新任の益州刺史である羅尚と対立し始めると、李輔は驃騎将軍に任命されます。彼は李驤と共に広漢郡の太守である辛冉を攻撃し、彼の軍勢を何度も打ち破りました。羅尚は李苾や費遠を派遣して辛冉を救援させようとしましたが、自軍を恐れ、進軍をためらいました。辛冉は連敗を続け、最終的には江陽へと逃げることとなります。

最期とその後

太安2年（303年）2月、羅尚は李特の陣営に奇襲を仕掛け、李特は大敗を喫し、命を落としました。この戦闘では李輔も散華し、生涯を閉じることとなります。後に李雄が王位に就くと、李輔の功績を称えて追諡し、斉烈王として崇められることとなりました。彼の子である李忠はその後を継ぐことになります。李輔の生涯は、彼の武勇と家族との絆、そして時代の波に翻弄された歴史の一幕として語り継がれています。

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