李庠

李庠の生涯

李庠（り よう、247年 - 301年）は、西晋時代において著名な人物である。彼の字は玄序であり、巴氐族の出身として知られている。現在の甘粛省秦安県にあたる略陽郡臨渭県で生まれ育ち、父は東羌の猟将である李慕、兄には李輔と李特、弟には李流と李驤がいる。

若き日の李庠

彼は若いころからその才能と能力を発揮し、広く知られるようになった。郡の督郵や主簿に仕官し、いずれの職務においても主君以上の能力を持っていることを証明してみせた。元康4年（294年）、彼は孝廉として推挙されるが、これを辞退した。また、その後も騎射に優れたことで将軍として推薦されるが、これも受け入れなかった。州府では李庠の文武両方の才能を認め、秀異な人材として推薦したが、病気を理由にこれを拒んだ。

それでも、一部の州郡は彼を無視して名前を朝廷に上聞し、結果的に中護軍から何度も仕官を促されることとなり、李庠は仕官を受け入れ、中軍騎督に任じられた。彼は弓馬を巧みに扱うことができ、力も並外れていたため、周囲の人々は彼を文鴦に匹敵する存在と見なした。

洛陽の乱と民衆の救済

洛陽で政変が起きると、李庠は病気を理由に官職を辞し、略陽に戻った。彼は任侠の心を持ち、他人の困難を助けることに尽力したため、地元の人々から慕われ、州の徒党が彼のもとへ集まってきた。元康6年（296年）、氐族の反乱が起こり、地域は混乱に包まれた。続く飢饉によって、略陽や天水の民は食糧を求めて流亡の身となり、多くの人が梁州や益州に移動した。

この時、李庠は兄弟と共に流民の中にいた。道を行く途中、彼は飢えや病に苦しむ人々を常に救助し、困窮する人々への支援に尽力した。その活動により、彼は民心を掴むことに成功した。

趙廞との出会い

永康元年（300年）、益州の刺史である趙廞が、密かに蜀の地を占有しようと企て、流民たちに食糧を分け与え人心を掌握しようとしていた。趙廞が李庠に会うと、彼を深く称賛し、兵法についての議論を通じて互いに感銘を受けた。趙廞は李庠を「関羽・張飛の如き」と称え、彼とその兄弟を厚待遇で迎え入れた。

趙廞が起兵すると、李庠は多くの部下と共に彼のもとへ帰順し、部曲督に任命された。李庠は流民の中から優れた者を集め、1万人以上の軍を指揮するようになった。この過程で、彼は軍事的な才能を発揮し、反乱を起こした羌族を討伐し、その功績により威寇将軍に任じられ、赤幢と曲蓋を与えられるなど、次第に権勢を増していった。

反逆と悲劇

しかし、趙廞は李庠の力を警戒するようになり、彼に強兵を与えることへの懸念を抱くようになった。長史の杜淑と張粲が「李庠の軍勢はいつか我々に牙を向けるかもしれない」と進言し、趙廞は彼らの意見に同意して、李庠の誅殺を決定した。李庠は「国家が乱れ、晋室は復興しないであろう」という言葉を吐いたことから、杜淑らの報告を受け、彼は罪に問われ、55年の生涯を閉じることとなった。彼の死去を聞いた多くの人々が涙を流し、悲しみが広がった。

彼の死後、その兄弟や李特が挙兵し、趙廞の野望は事実上潰えることとなった。その後、李特の子孫である李雄が成都王に即位すると、李庠は梁武王として追諡されることとなる。彼の生涯と行動は、時代を超えて語り継がれることとなった。

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