李鳳宇

李 鳳宇（リ・ボンウ） - 映画プロデューサーの軌跡

李鳳宇（リ・ボンウ）は、1960年に京都で生まれた日本の映画プロデューサーです。朝鮮大学を卒業後、フランスのソルボンヌ大学で学び、その後日本に帰国。映画業界でのキャリアを築くため、徳間ジャパンを経て1989年に配給会社「シネカノン」を設立しました。

シネカノンの設立後、李はアジアやヨーロッパの優れた作品を次々と配給し、特に1993年に製作した『月はどっちに出ている』は大きな成功を収めました。この作品は第67回キネマ旬報ベストテンで1位を獲得し、国内外の映画賞で合計50以上を受賞しました。興行的にも大ヒットし、新宿ピカデリーでの26週間ロングランという記録を樹立しました。

94年に配給した韓国映画『風の丘を越えてー西便制』を皮切りに、李は韓国映画ブームの立役者となり、2000年代初頭には『シュリ』や『JSA』、『殺人の追憶』などの話題作を次々と配給しました。特に『シュリ』は韓国映画史上初めて130万人以上の動員を記録し、映画産業に衝撃をもたらしました。

その後も李は映画製作に積極的に関わり、2005年に映画『パッチギ!』を製作。この作品は毎日映画コンクールやブルーリボン賞など、多数の賞を受賞しました。翌年には『フラガール』でも日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞するなど、数々の映画が高い評価を受けました。加えて、映画文化への貢献を評価され、2007年には第16回淀川長治賞を受賞し、また韓国釜山映画祭からはアジア映画貢献賞をたたえられました。

震災後は、東北地方に移動映画館「MOMO」を設立し、福島、宮城、岩手の地域を対象に映画上映を行いました。障害のある地域に映画を届ける活動は、高く評価されています。2011年には株式会社スモモのCEOとして、新たな仕事を始め、株式会社マンシーズエンターテイメントの代表取締役にも就任しました。

故・高倉健の生涯を描いたドキュメンタリー映画『健さん』もプロデュースし、第40回モントリオール世界映画祭では最優秀作品賞を受賞しました。2014年には自らの企画と脚本で『イン・ザ・ヒーロー』を製作し、2017年には『リングサイド・ストーリー』、2019年には『あの日のオルガン』の企画・製作に関わるなど、着実に活動を続けています。

また、映画の製作や配給だけでなく、シネアミューズやヒューマントラスト銀座などの劇場運営、世田谷もの作り学校での次世代映画人の育成にも尽力。彼の功績は日本映画界において非常に重要なものとされており、最近ではポン・ジュノ監督の受賞作『パラサイト 半地下の家族』の舞台化に取り組むと発表し、多くの注目を集めました。李は今後も映画、演劇、配信ドラマのプロデュースなど、多岐にわたる活動を展開し、日本の映像文化を牽引していく存在であります。

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