村上真一

村上 真一

将棋棋士、八段。

生涯

明治30年（1897年）6月16日、広島県呉市に生まれる。木見金治郎九段に師事し、将棋の道に進んだ。

昭和31年（1956年）7月2日、順位戦B級2組に在籍したまま、その生涯を終えた。

棋歴

大正11年（1922年）に棋士としての一歩を踏み出し、翌大正12年（1923年）には四段へと昇段を果たした。若手棋士として注目を集めた時代には、当時の最高実力者である十三世名人 関根金治郎との対局機会に恵まれましたが、残念ながら勝利を収めることはできませんでした。

昭和17年（1942年）には、将来の名人挑戦者候補としての地位を争う五段から七段の棋士たちによるトーナメントを勝ち抜き、最高峰である名人位への挑戦者決定戦予選へと駒を進めました。

戦後もプロ棋士として活動を続け、昭和21年（1946年）度開始の第1期順位戦では最高峰クラスであるA級に名を連ねました。しかし、続く昭和22年（1947年）度には、A級の厳しい戦いの中で残念ながら全敗を喫し、翌期の順位戦からは降級することとなりました。

現代と比較すると、多くの棋士が比較的早めに現役生活を終える時代でしたが、村上八段は棋士として息長く活躍を続けました。特に昭和27年（1952年）からは、日本将棋連盟所属の棋士の中で最も高齢の現役棋士として、その存在感を示しました。

棋士人生の晩年、昭和30年（1955年）6月30日に行われた第2回早指し王位決定戦の2回戦では、当時わずか15歳ながら既に頭角を現していた若手精鋭、加藤一二三（現九段）と対局しました。村上八段より43歳も若い相手とのこの対局は、新旧世代の象徴的な一戦となりましたが、結果は村上八段の敗退でした。この対局は、後に「ひふみん」の愛称で広く親しまれる加藤九段が、公式戦で初めて盤を挟んだ相手として最も年長の棋士であったという記録としても記憶されています。興味深いことに、当時加藤青年が師事していたのは南口繁一八段であり、この南口八段こそが村上八段の門下生でした。このため、加藤青年との対局は、師匠が自身の弟子、さらにその弟子（孫弟子）と盤上で向き合うという、将棋界特有の師弟関係が織りなす一幕として、「孫弟子からの恩返し」とも形容される出来事となりました。

昇段履歴

• - 大正11年（1922年）：入門
• - 大正12年（1923年）：四段
• - 昭和18年（1943年）：八段
• - 昭和31年（1956年）7月2日：逝去

主な成績

• - 順位戦A級：通算2期

門下

棋士として後進の指導にも力を注ぎ、前述の南口繁一八段のほか、木下晃八段らを門下から育てました。

関連事項

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