木下晃

木下晃：不屈の闘士、将棋界にその名を刻む

木下晃（きのした あきら）は、1939年8月15日生まれ、2010年10月7日没の将棋棋士である。大阪府大阪市浪速区出身。村上真一八段門下、棋士番号88番。

奨励会時代からプロ入りまで

奨励会時代は6級で長く過ごしたことから「奨励会の主」というニックネームで呼ばれるほど、昇段が遅かった。しかし、1963年度後期奨励会A組で関西優勝を果たし、東西決戦を制して1964年4月、四段に昇段、プロ棋士となった。プロ入り直後には、第8回古豪新鋭戦で準優勝という好成績を残している。

順位戦での逆境と復活劇

プロ棋士として活躍する中で、第36期C級2組順位戦では2つの降級点を喫し、順位戦陥落の危機に瀕した。しかし、持ち前の粘り強さで、翌年度の第37期C級2組順位戦で9勝1敗の成績を収め、C級1組へ昇級。順位戦史上、降級点2点からの昇級は木下が初めてのケースであり、その不屈の精神が示された出来事と言えるだろう。

数々の活躍と引退

1981年度の第31回NHK杯戦では、大内延介八段、森雞二八段、大山康晴王将といったそうそうたるメンバーを破り、ベスト4進出という快挙を成し遂げた。準決勝では加藤一二三九段に敗れたものの、その活躍は多くの将棋ファンの記憶に刻まれている。また、1982年には全日本プロ将棋トーナメントで5回戦進出を果たすなど、第一線で活躍した。1999年度に満60歳を迎え、2000年春に現役を引退。引退時点での通算成績は398勝566敗。あと2勝で400勝という目標に届かなかったことが惜しまれる。引退直後には七段に昇段し、竜王戦に七段棋士として出場した。

棋風と人物像

木下晃の棋風は居飛車党で、相居飛車戦では矢倉や相掛かりを得意とした。積極的に攻め込む、踏み込んで斬り合うことを好む、非常に早見えする将棋で知られ、感想戦では瞬時に詰みを判断し、対戦相手を驚かせることもあったという。

後進の育成

木下晃は後進の育成にも力を注ぎ、南芳一（後に二冠を獲得）、阪口悟、牧野光則といった多くの棋士を門下に持つ。弟子たちの活躍は、木下晃の指導力の高さを物語っている。

死去

2010年10月7日、大腸がんのため71歳で死去。数々のエピソードと活躍を残した、将棋界の偉大な棋士の一人として、その功績は長く記憶されることだろう。

主な成績

通算成績：398勝566敗
第8回古豪新鋭戦（1964年度）：準優勝
第31回NHK杯戦（1981年度）：ベスト4

昇段履歴

1952年：奨励会入会（8級）
1964年4月1日：四段（関西奨励会A組優勝）
1973年11月3日：五段（贈五段）
1984年4月1日：六段（勝数規定）
2000年4月1日：七段（フリークラス規定）

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