村木保裕

村木保裕（むらき やすひろ）は、1958年3月23日生まれの元裁判官です。岐阜県出身で、岐阜県立岐阜高等学校、中央大学法学部を卒業後、1983年に司法試験に合格しました。25歳という若さで難関を突破し、司法修習を経て、1986年4月に判事補として広島地方裁判所に赴任しました。

その後、名古屋地方裁判所、名古屋家庭裁判所、金沢地方裁判所、山口地方裁判所と各地の裁判所を歴任し、1996年4月に判事となりました。1997年には津家庭裁判所に勤務し、1999年には東京地方裁判所に異動しました。2000年4月1日には、東京地方裁判所判事兼東京家庭裁判所判事に補せられ、同時に東京高等裁判所判事職務代行を命ぜられました。彼は高等裁判所で刑事第5部を担当することになりました。

村木氏が関わった裁判の中でも特に注目されたのが、東電OL殺人事件の控訴審でした。一審で無罪判決を受けていたネパール国籍の被告人に対し、検察側が控訴した事件です。2000年5月19日、村木氏は被告人の保釈請求を却下する決定を下し、同年12月22日には一審判決を覆し、被告人に逆転の無期懲役判決を言い渡しました。

しかし、その直後の2001年8月、村木氏は児童買春の罪で東京地裁にて懲役2年執行猶予5年の有罪判決を受けました。この判決は確定し、裁判長は山室惠でした。この不祥事を受け、同年11月28日、裁判官弾劾裁判所によって罷免されることとなりました。これは、裁判官に対する7例目の弾劾裁判であり、史上初の高裁判事（正確には職務代行）に対する弾劾となりました。

この事件は、裁判官の倫理観や司法制度のあり方について、社会に大きな衝撃を与えました。関連文献として、『ジュリスト』、『新潮45』、『読売ウイークリー』、『週刊新潮』、『テーミス』、『週刊文春』といった雑誌や、佐野眞一による『東電OL症候群』や『新 忘れられた日本人IV 昭和の人』などが挙げられます。

また、村木氏に関する公法判例研究や国会会議録も存在します。これらの記録は、事件の背景や司法制度の問題点を考察する上で重要な資料となっています。村木氏の事例は、司法関係者にとって、自らの倫理観を問い直すための教訓として、語り継がれるべきでしょう。

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