村瀬嘉代子

村瀬嘉代子（むらせ かよこ）氏は、1935年生まれの臨床心理学者であり、臨床心理士の資格を持つ専門家です。文学博士の学位を有し、長年にわたり臨床心理学の発展に貢献してきました。特に、心理療法の治療機転、子供と家族への統合的心理療法、そして聴覚障害者への心理的援助に関する研究と実践に力を注いでいます。また、日本臨床心理士会の前会長を務めるなど、業界の発展にも尽力されました。

村瀬氏は、1959年に奈良女子大学文学部教育学科心理学専攻を卒業後、家庭裁判所調査官（補）として実務経験を積みました。その後、1962年から1963年にかけてカリフォルニア大学バークレー校大学院に留学し、さらに専門知識を深めました。帰国後は、大正大学カウンセリング研究所講師を皮切りに、助教授、教授と昇進し、1993年には大正大学人間学部並びに大学院人間福祉学科臨床心理学専攻教授に就任しました。2002年には、奈良女子大学から文学博士号を授与されました。博士論文の題は「子どもと家族への統合的心理療法：その創案と臨床的展開」であり、長年の研究成果が結実したものです。

2007年には日本臨床心理士会会長に就任し、臨床心理士の質の向上と社会貢献に尽力されました。2008年からは北翔大学人間福祉学部教授、2010年からは同大学院人間福祉学研究科客員教授として後進の育成にも力を注ぎました。村瀬氏の教育者としての貢献も大きく、多くの臨床心理士が育ち、現場で活躍しています。

村瀬氏の著作は、臨床心理学の分野において重要な文献として広く読まれています。『統合的心理療法の考え方 - 心理療法の基礎となるもの』、『子どもと大人の心の架け橋 - 心理療法の原則と過程』、『聴覚障害者の心理臨床』、『詳解 子どもと思春期の精神医学』（共著）、『ロジャーズ - クライエント中心療法の現在』（共編）、『柔らかなこころ、静かな想い - 心理臨床を支えるもの』などがあります。これらの著作は、臨床心理学を学ぶ学生だけでなく、現職の臨床心理士にとっても貴重な参考資料となっています。

村瀬嘉代子氏は、臨床心理学の発展に大きく貢献しただけでなく、多くの人々に寄り添い、心のケアを実践してきた人物です。その功績は、今後も長く語り継がれることでしょう。

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