村瀬清 (久保田藩士)

村瀬清は、江戸時代末期から明治時代にかけての久保田藩（秋田藩）の藩士です。明治維新後には、東京平田神社の創建に深く関わりました。

略歴

慶応3年（1867年）の王政復古の大号令以降、久保田藩内では勤王派が勢いを増しました。村瀬清は御用人兼勘定奉行に任じられ、京都に滞在することになります。同時期に、江戸定府の久保田藩士であり、平田国学の指導者であった平田銕胤（ひらたかねたね。平田篤胤の養子）も村瀬とともに京都へ上り、薩摩・長州藩の陣営に加わろうとしましたが、合流は実現しませんでした。

明治11年（1878年）、銕胤の子である平田胤雄（ひらたたねお。平田延胤の弟）が、東京柳島横川町（現在の東京都墨田区）にあった平田屋敷の邸内社であった平田神社を正式な神社として認めてもらうため、東京府知事の楠本正隆に上申書を提出しました。この上申書に名を連ねた19名の中に、村瀬清の名前があります。この創建運動が実を結び、明治14年（1881年）11月には、明治天皇からの下賜金をもとに、平田神社は東京小石川第六天町（現在の東京都文京区）へ遷座しました。なお、現在は渋谷区代々木に鎮座しています。

村瀬清は、激動の幕末維新期において、久保田藩士として、また平田国学に連なる人物として活動しました。平田神社の創建に尽力したことは、彼の事績を語る上で重要な要素となっています。

参考文献

畑中康博 著「秋田藩維新史における「砲術所藩士活躍説」の誕生」、渡辺英夫編 編『秋田の近世近代』高志書院、2015年1月。ISBN 978-4-86215-143-8。
歴史スペシャル編集部 編『ビジュアル幕末1000人』世界文化社、2009年12月。ISBN 978-4-418-09234-5。
* 国安寛・柴田次雄・渡部綱次郎ほか『近世の秋田』秋田魁新報社、1991年11月。ISBN 4-87020-088-0。

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