杜興

杜興（と こう）：水滸伝の好漢

杜興は、中国の古典小説『水滸伝』に登場するキャラクターであり、四大奇書の一つとして広く知られています。彼は梁山泊の第八十九位の好漢で、地全星の転生とされています。外見は威厳に満ちた巨漢で、顔立ちは鋭く、特に大きな顎と目つきが印象的です。その恐ろしい容姿から「鬼臉児（きれんじ）」と呼ばれていますが、内面的には非常に真面目で、義理堅い常識人です。

生い立ちと背景

杜興は中山府の出身で、行商をしていました。ある日、彼は商売仲間とのトラブルから誤って一人を殴り殺してしまいます。しかし、牢役人の楊雄の助けによって無罪放免となりました。その後、鄆州独竜岡の李家荘の庄屋・李応に見込まれ、屋敷の使用人として雇われ、最終的には執事としての地位を得るまでに信頼を勝ち得ました。

彼の日常の中で、杜興は李応と共に過ごしているとき、偶然に以前の恩人である楊雄とその義弟・石秀と再会します。彼らは薊州での殺人事件を引き起こし、逃亡中でした。杜興は彼らの仲間、時遷が祝家荘に捕まったことを知り、李応に彼を助けるように提案しました。これにより、李応は時遷の釈放を求める手紙を書くこととなり、杜興はその手紙を届けに行く役割を果たしますが、祝家荘の三兄弟に阻まれてしまいました。

抗争の発端

この抗争がきっかけで、梁山泊と祝家荘の間に敵対関係が生まれます。李応は山賊と見なされることを恐れ、屋敷に戻ることを選び、杜興もそれに従います。しかし、戦局が進展すると、州知事が現れ、彼らは梁山泊に内通したとして逮捕されてしまいます。実際にはこれは、梁山泊に彼らを誘うための計略であり、知府の部隊は梁山泊の仲間が変装したものでした。屋敷は焼かれ、家族や仲間は梁山泊に連れ去られたため、杜興は渋々、仲間たちとともに梁山泊に加わることとなりました。

梁山泊での活動

梁山泊に入山後、杜興は什器の管理者として事務的な仕事を担い、百八星が集結した後は朱貴の相役として南の酒店で情報収集や来客の応対を行いました。また、官軍との戦いにおいては、水夫に変装して敵に潜入し、見事に敵将を討ち取る活躍も見せました。

朝廷に帰順した後は、後方の守備隊で活動し、李応の指揮する遊撃隊にも加わりましたが、特筆すべき戦功は残していません。方臘戦後は武奕郎・都統領といった官職を与えられましたが、最終的には李応が辞職したのに従って故郷の独竜岡に戻り、元のように富裕になった李応に仕え、静かな余生を送りました。

このように、杜興は外見に反して実直で情に厚い性格を持ち、多くの試練を乗り越えながら多様な役割を果たしてきた人物です。

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