条はるき

城はるき（じょう はるき） - 宝塚歌劇団を彩った娘役スターの軌跡

1950年4月30日、東京都世田谷区生まれの城はるき（本名：宮井ゆり子）。立教女学院出身、身長163cm。愛称は「ミヤイ」と「ゆりちゃん」で親しまれていました。宝塚歌劇団月組の娘役スターとして活躍し、その華麗な経歴は多くのファンを魅了しました。

宝塚歌劇団での活躍

1970年、宝塚歌劇団に56期生として入団。同期には麻実れい、東千晃、萬あきら、夏川るみ（現・小柳ルミ子）といったそうそうたるメンバーが名を連ねています。70人中6位という優秀な成績で入団を果たし、当初は男役として舞台に立っていました。

1971年3月8日、月組に配属。その後、数々の舞台で研鑽を積み、1976年には『赤と黒』の東京新人公演で初主演を務めます。この経験が、彼女にとって大きな転機となります。

1978年、『風と共に去りぬ』の全国ツアーで女役に挑戦。以後、娘役としての道を歩み始めます。そして1982年、『情熱のバルセロナ』でリンダ・メレンデス公爵夫人を演じ、主役の青年貴族を愛する大人の女性として、黒木瞳演じる美少女と並ぶ存在感を放ちます。この役柄は、彼女を「別格」と称される存在へと押し上げました。

数々の作品で、新人公演の主演を何度も務めるなど、その実力は高く評価されてきました。特に、1985年2月7日、バウホール公演『愛…ただ愛』で主演を務めたエディット・ピアフ役は、娘役が主演を務めるという当時としては非常に珍しいケースであり、大きな話題となりました。この公演の千秋楽をもって、城はるきは宝塚歌劇団を退団します。

宝塚時代を彩る主な舞台

彼女の宝塚歌劇団時代の主な出演作品には、以下のものがあります。新人公演での主演作も多く、その実力の高さをうかがい知ることができます。

1972年7月　『蒼き湖』新人公演：リボール王子／『グラン・ソレイユ』
1972年12月　『ミルテの花』／『シャイニング・ナウ!』
1973年11月　『宝塚踊り』／『ハロー!タカラヅカ』（東南アジア公演）
1974年1月　『白い朝』新人公演：万吉／『ロマン・ロマンチック』
1974年6月　『花のオランダ坂』新人公演：アルフォンゾ／『インスピレーション』
1975年1月　『春鶯囀』新人公演：義春／『ラビング・ユー』
1975年3月　『春の宝塚踊り』／『ラムール・ア・パリ』新人公演：アンリ、デュマ
1975年9月　『ザ・タカラヅカ』（ヨーロッパ公演）
1976年3月　『赤と黒』新人公演：ジュリアン・ソレル／『イマージュ』（東宝）
1976年5月　『スパーク&スパーク』／『長靴をはいた猫』新人公演：コンスタンタン
1976年8月　『ベルサイユのばら Ⅲ』（東宝）プロヴァンス伯爵
1976年9月　『ザ・タカラヅカ』（全国ツアー）
1976年11月　『紙すき恋歌』／『バレンシアの熱い花』新人公演：フェルナンド・デルパレス侯爵
1977年3月　『風と共に去りぬ』新人公演：レット・バトラー
1977年9月　『わが愛しのマリアンヌ』新人公演：クレアント、アルフレッド伯爵
1978年3月　『祭りファンタジー』／『マイ・ラッキー・チャンス』
1978年6月　『マリウス』（バウ）
1978年8月　『隼別王子の叛乱』／『ラブ・メッセージ』
1978年10月　『風と共に去りぬ』（全国ツアー）ベル・ワットリング
1979年2月　『日本の恋詩』／『カリブの太陽』
1979年3月　『榛名由梨ゴールデン・タイム』（バウ・中日・東宝）
1979年6月　『春愁の記』／『ラ・ベルたからづか』
1979年9月　『恋とかもめと六文銭』（バウ）
1979年11月　『バレンシアの熱い花』／『ラ・ベルたからづか』（東宝）
1980年1月　『アンジェリク』／『仮面舞踏会』
1980年6月　『スリナガルの黒水仙』／『クラシカル・メニュー』
1981年1月　『ジャンピング!』／『新源氏物語』
1981年2月　『ディーン』（バウ・東京特別）
1981年6月　『白鳥の道を越えて』／『ザ・ビッグ・アップル』
1981年8月　『愉快な夢人たち』（中日劇場）
1981年11月　『天明ふあんたじい』（バウ）
1982年2月　『あしびきの山の雫に』／『ジョリー・シャポー』
1982年3月　『永遠物語』（バウ）
1982年5月　『白鳥の道を越えて』／『ザ・ビッグ・アップル』（全国ツアー）
1982年10月　『愛限りなく』／『情熱のバルセロナ』
1982年11月　『I LOVE MUSIC Ⅱ』（バウ）
1983年3月　『春の踊り』／『ムーンライト・ロマンス』
1983年6月　『南蛮花更紗』／『ムーンライト・ロマンス』（全国ツアー）
1983年11月　『翔んでアラビアン・ナイト』／『ハート・ジャック』
1984年1月　『夜霧のモンパルナス』（バウ）
1984年5月　『沈丁花の細道』／『ザ・レビューII』
1984年11月　『ガイズ&ドールズ』（大劇場のみ）
* 1985年1月　『愛…ただ愛』（バウ）＊バウホール公演主演、退団公演

退団後

宝塚歌劇団退団後も、様々な活動を続けています。2023年には『血脈 鵜野讃良私伝』（郁朋社）を宮井ゆり子名義で出版するなど、精力的に活動を続けています。

城はるきの華麗な宝塚時代は、多くのファンにとって忘れられない記憶として、今も語り継がれています。彼女の功績は、宝塚歌劇団の歴史に深く刻まれています。

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