来振寺

来振寺（きぶりじ）の概要

来振寺は、岐阜県揖斐郡大野町稲富にある真言宗智山派の寺院で、山号は宝雲山です。この寺院は、本尊に十一面観世音菩薩を秘仏として祀っており、西美濃三十三霊場の第二札所に位置しています。

沿革

来振寺の歴史は深く、伝説によると715年、法相宗の新福寺として行基によって創建されたとされています。その後725年には、寺院の背後にある山に黄色の雪が降るという現象があり、これをきっかけに寺名が黄降（きぶり）と名付けられるようになりました。937年に新義真言宗に改宗したことも、寺の歴史において重要な出来事です。

中世には、1530年に洪水の影響を受け、1560年に織田信長による焼き討ちを受けて伽藍が焼失しました。しかし、豊臣秀吉や徳川家康の助けを得て復興が進み、その後も大垣藩戸田氏の保護を受けながら寺の発展は続きました。

文化財

来振寺は数々の貴重な文化財を所有しており、特に国宝に指定されている「絹本著色五大尊像」は重要な存在です。この作品は、不動明王、降三世明王、軍荼利明王、大威徳明王、烏蒭沙摩明王の5幅からなり、それぞれには歴史的な銘が刻まれています。各幅の大きさは、通常138×88センチで、大威徳明王のみ140×88センチです。五大尊像は密教修法における五壇法の本尊画像ですが、来振寺の版は特に「智証大師将来様」として知られています。

また、この五大尊像は、東密系の金剛夜叉明王の代わりに烏蒭沙摩明王が加わった点が特徴的で、台密系の五大尊像としては最も古く、平安時代の仏画の中でも貴重な基準作とされています。2004年には国宝に指定され、現在は奈良国立博物館に寄託されており、同寺の大師堂での複写は正月や節分に公開されます。

さらに、岐阜県指定の重要文化財には如意輪観音図や弘法大師御影図などがあり、大野町内でも指定文化財が豊富に存在します。その他にも、十一面観世音菩薩像や円空作の大日如来像など、仏教画を含むさまざまな文化財が保存されています。

所在地とアクセス

来振寺は岐阜県揖斐郡大野町稲富398に位置しており、名阪近鉄バスや岐阜バス、大野バスセンターからは約5kmの距離です。タクシーを利用すると、所要時間は約10分です。

寺院周辺の自然も美しく、訪れる人々に静寂さと平和を提供している場所です。

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