新義真言宗

新義真言宗について

新義真言宗（しんぎしんごんしゅう）は、空海（弘法大師）を始祖とする真言宗の一派で、真言宗中興の祖とされる覚鑁（興教大師）の教えを基盤としています。覚鑁派の僧正である頼瑜が受け継ぎ、新しい信仰体系を打ち立てたことから「新義」と名付けられました。これは、従来の教義からの進化を示すものであり、特定の寺院に所在する宗派の特性を持っています。

概要

広い意味では、新義真言宗には根来寺を本山とするほか、智積院を本山とする真言宗智山派、長谷寺を本山とする真言宗豊山派、室生寺を本山とする真言宗室生寺派などが含まれます。一方で狭義には真言宗十八本山の一つとして根来寺を指します。新義真言宗と古義[[真言宗]]の最大の違いは、教義に関する解釈です。古義では本地身説法が説かれているのに対し、新義真言宗では加持身説法が中心となっています。

歴史

新義真言宗の歴史は、平安時代に遡ります。この時期、僧侶の堕落と停滞によって真言宗は危機に瀕していました。高野山の金剛峯寺の高僧であった覚鑁は、宗派の再建を目指し、一大改革を推進しました。しかし、保守的な派閥との対立が激化し、覚鑁派-大伝法院方は最終的に高野山を離れ、岩手荘に拠点を移しました。ここから新しい教義が展開されていきます。

1150年、覚鑁が入寂した後にも、教えは大伝法院において引き継がれましたが、確執が続きます。1288年、頼瑜が門弟を率いて根来山に戻り、新たな教義を打ち立て、新義真言宗を確立しました。この動きは、戦国時代における根来寺の発展と深いつながりがあります。

戦国時代、根来寺は武力を背景にした宗教勢力となり、豊臣秀吉の攻撃を受けて大きな打撃を受けます。1585年に根来山が攻撃され、多くの僧侶が命を落とし、寺の宝物も壊滅的な状況に陥りました。この敗北の中、避難した僧侶たちは、奈良の長谷寺や高野山へと逃れ、一時的に教団を支えました。

江戸時代に入ると、復興の兆しが見え始めます。豊臣政権の終焉を経て、徳川家の恩赦を受けた新義真言宗は徐々に復興を果たし、根来寺の再興も実現しました。また、覚鑁は東山天皇より「興教大師」の称号を受け、宗派としての存続が確立されていきました。明治時代になると、政府の宗教政策により、他の真言宗の宗派との合同が行われ、新義真言宗が公式に創設されるに至ります。

現在では、根来寺が総本山とされる新義真言宗は、数多くの寺院を持ち、その教えは引き続き受け継がれています。

寺格と教育機関

新義真言宗の総本山は根来寺であり、大本山には密厳山誕生院が存在します。また、別院として如意珠山龍厳寺一乗院があり、多くの一般寺院がこの教えを基に活動しています。さらに、新義専門学院も設立され、教義の継承が行われています。

新義真言宗は、古義[[真言宗]]の流れをくむ新たな枠組みを形成し、教義の深化を図りながら、今日も日本全国にその教えを広めています。

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