東ドイツ緑の党

東ドイツ緑の党：民主化の波に乗った環境政党

東ドイツ緑の党は、ドイツ民主共和国（東ドイツ）に存在した環境政党です。エーリッヒ・ホーネッカー率いるドイツ社会主義統一党（共産党）による全体主義・権威主義的な共産主義政権下において、「緑・環境ネットワーク」として1988年にその形成が始まりました。

結成の背景と初期の活動

1989年4月、緑・環境ネットワークは、社会主義統一党が主導する国民戦線だけでなく、緑派の者の立候補も許容するように要求しました。これは、国民戦線の枠外での立候補を求める、東ドイツの歴史において初めての出来事でした。しかし、環境運動内部の問題により政党化は遅れ、東欧革命や東ドイツ民主化、ベルリンの壁崩壊といった政治情勢が急速に展開する中で、東ドイツ緑の党は新たに登場した市民団体や新政党に後れを取ることとなりました。党が正式に結成されたのは、ベルリンの壁崩壊後の1989年11月24日であり、翌1990年2月9日に行われた第1回党大会において正式に設立されました。

人民議会選挙への参加と統一会派の結成

東ドイツ緑の党は、1990年2月から4月にかけて、ハンス・モドロウ内閣にマティアス・プラツェック（後に社会民主党へ移籍し、ブランデンブルク州首相となる）を無任所相として送り込みました。そして、東ドイツ最初で最後の自由選挙となった1990年3月18日の人民議会選挙では、独立婦人同盟（Unabhängiger Frauenverband, UFV）との統一名簿で8名の当選者を出すことに成功しました。選挙後には、民主化を求めたリベラルな草の根運動市民団体をルーツとする同盟90と統一会派を組み、共同歩調を取るようになりました。

ドイツ再統一と連邦議会への進出、そして東西緑の党の合流

1990年10月のドイツ再統一後、同年12月2日に行われた連邦議会選挙では、同盟90と統一名簿を組み、旧東ドイツから8名（うち緑の党は2名）を当選させました。翌12月3日には、東西の緑の党が合流し、一つの政党となりました。特筆すべきは、この選挙で旧西ドイツの緑の党が5％阻止条項に阻まれて議席を獲得できなかったため、旧東ドイツから当選した2名だけが連邦議会における貴重な緑の党の議員となったことです。この状況は、1994年の連邦議会選挙で同盟90と合流した後の「同盟90/緑の党」が49議席を獲得するまで続きました。

選挙における党勢の推移

東ドイツ緑の党は、短期間ながらも東ドイツの民主化と環境保護運動において重要な役割を果たしました。その活動は、ドイツ再統一後の環境政策にも影響を与え、現在のドイツにおける緑の党の発展に繋がっています。

関連項目

緑の党
緑の政治

外部リンク

* Chronik der Wende:Grüne Partei der DDR

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