東之宮古墳

東之宮古墳

東之宮古墳（ひがしのみやこふん）は、愛知県犬山市の北白山平に位置する前方後方墳であり、古墳時代前期に築造されたものです。この古墳は1973年に発掘調査が実施され、1975年には国の史跡に指定されました。その後、出土品は1978年に重要文化財として認定されています。

概要

古墳は木曽川左岸に広がる白山平山の山頂西端に位置し、東西に長くのびています。1973年3月には、この古墳の後方部分で盗掘事件が発生しました。そのため、同年8月から9月にかけて犬山市からの依頼を受けて発掘調査が行われ、同時に測量調査も実施されました。これにより、古墳の規模に関する情報が得られました。

2005年以前の文献では、墳丘の長さは72メートル、後方部は48×49メートル、前方部は43メートルの幅を持ち、高さはそれぞれ8メートルと6メートルとされています。しかし、2000年代の調査によって、墳長は67メートル、後方部の長さ39メートル、幅36メートル、前方部幅35メートル、と修正されました。さらに、墳丘の一部は土取による破壊が見られたものの、全体としては良好な形状を維持しています。

最上部には狭い平坦面があり、調査では後方部の中間にテラス状の構造が確認され、2段築成の墳丘であることが明らかになりました。前方部の状況については未調査の部分もありますが、後方部の構造が前方部にも延びる可能性が示唆されています。

内部主体と出土遺物

古墳の主体部は後方部に2か所、前方部に1か所存在します。1973年に発掘調査された後方部には、長さ4.8メートル、幅0.8メートルの竪穴式石槨が見つかりました。石槨の底には木製の棺が安置されていた跡が確認され、側石には細長い凝灰岩と花崗岩が使用されています。また、天井部分は7枚の凝灰岩の板石で覆われていました。

出土した遺物はすべてこの石槨から発掘され、銅鏡、石製品、玉類、鉄製品などが含まれています。具体的には、三角縁神獣鏡や人物禽獣文鏡などの銅鏡が11面、石釧や車輪石、勾玉などの石製品があり、鉄剣や鉄刀、鉄槍といった鉄製品も数多く発見されました。これらは国の重要文化財に指定されており、保管は京都国立博物館で行われています。

特に銅鏡の中でも三角縁神獣鏡は国内の他の古墳からも見つかっていますが、人物禽獣文鏡は濃尾平野に特有の図像がみられる日本製とされています。

築造年代

築造年代については、出土した副葬品などの考古的証拠から4世紀頃と考えられていますが、調査に携わった赤塚次郎氏は最近の研究に基づき、3世紀後半の築造を提案しています。

文化財

この古墳は1975年に国の史跡に指定され、出土品は1978年に重要文化財として認定されています。

交通アクセス

愛知県犬山市北白山平に位置し、名鉄犬山線の犬山遊園駅から徒歩約20分の距離にあります。

東之宮古墳はその歴史的価値から、多くの研究者と観光客を惹きつける場所となっており、古代の文化を知る重要な資料といえるでしょう。

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