東京のバスガール

東京のバスガール

「東京のバスガール」は、1957年（昭和32年）10月に日本コロムビアから発売された、初代コロムビア・ローズが歌う流行歌のシングル盤です。作詞は丘灯至夫、作曲は上原げんとが手掛けました。

この歌のモデルとなった「バスガール」は、路線バスの車掌ではなく、はとバスのガイド嬢であると言われています。祥伝社新書「はとバス」60年には歌詞がフルコーラスで紹介され、NHK『思い出のメロディー』では、はとバスのバスガイドOGが登場し、現役時代の写真と共にコロムビア・ローズが歌唱しました。もっとも、歌詞の内容には、都心のターミナル駅から郊外の住宅地へ向かう路線バスを連想させる描写も含まれています。例えば、「昨日のお客がきょうも乗ってきたり、酔っぱらいが乗ってきたり」といった部分は、観光バスよりも日常的な路線バスの風景を彷彿とさせます。

当時の路線バスには、女性車掌が必ず乗務しており、切符の販売や、お年寄りなど体の不自由な乗客のサポートを行っていました。バスのワンマン化が始まるのは1961年頃からのことです。車掌という職業がまだ一般的だった時代背景が、この歌には反映されています。

歌詞は3節から構成されており、夢と希望に胸を膨らませてバスガールになった若い女性が主人公です。彼女は、見初めた若者に恋人がいることを知ってがっかりしたり、酔っぱらいに怒鳴られたりと、理想と現実のギャップに悩みながらも、「明るく」前向きに頑張ろうとする姿が描かれています。そのけなげで純情な姿は、多くの人々の共感を呼びました。この歌は、初代コロムビア・ローズの代表曲として、長きにわたり愛されています。

また、はとバスの東京都内定期観光バスでは、島倉千代子の「東京だョおっ母さん」と共に、バスガイドが乗客に披露する歌としても親しまれています。

映画化

1958年7月22日には、春原政久監督による歌謡映画が公開されました。映画では、歌の世界観をベースに、バスガールたちの日常や恋模様が描かれています。

キャスト

美多川光子 - 佐藤ミネ子（バスガイド）
コロムビア・ローズ - 星野正子
石丘伸吾 - 立花吾郎
内海突破 - 外堀留吉
有木山太 - 笹川助五郎
西村晃 - 青井一太郎
山田禅二 - 藤尾
堺美紀子 - 野尻女史
小沢昭一 - 桃山
柳沢真一 - 桜井
八木さち子 - よし子

スタッフ

監督 - 春原政久
脚本 - 西島大
企画 - 茂木了次
* 音楽 - 馬渡誠一

この映画は、歌の人気を背景に、当時の社会情勢や風俗を反映した作品として、多くの観客を魅了しました。

「東京のバスガール」は、歌と映画を通して、昭和の東京を象徴する作品として、今もなお人々の心に残り続けています。

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