東京の休日 (1991年の映画)

『東京の休日』

概要

『東京の休日』は、1991年11月2日に公開された日本映画で、東北新社による初の自社製作と配給作品です。映画は長尾直樹が監督を務め、彼にとっては劇場用映画初監督作品となります。主演はロック歌手の川村かおりで、彼女も映画初出演です。また、エディ・コンスタンティーヌやディック・ルード、サンサレイ・リーなどの海外からのキャストも参加しており、国際色豊かな作品となっています。

制作とスタイル

本作の原案と共同脚本には享珍化が参加し、撮影を担当したのは鋤田正義です。彼はデビッド・ボウイのポートレートや寺山修司監督作品の撮影にも携わる名手です。この映画は、非現実的な設定や淡々としたストーリーテリングが特徴で、劇中の約8割のセリフが英語で構成されています。さらに、登場人物たちは日本語だけでなく、英語や中国語も駆使し、マルチリンガルな交流が描かれます。物語の中には詩的なセリフや幻想的な映像が散りばめられ、多彩なアヴァンギャルドな手法が目を引きます。

ストーリー

物語は東京の製薬会社で働くドクター・ノグチ（三上博史）が、老人性痴呆症向けの新薬開発中に偶然作ったドラッグ「トウキョウ・ホリディ」を持ち出すところから始まります。ノグチはこのドラッグを秘密裏に実験し続け、さらにその噂が広まり、様々な人物が東京に集まってきます。ニューヨークの大富豪ウィリアム・ライト（エディ・コンスタンティーヌ）や、彼の部下エルビス（ディック・ルード）、仲間の中国人女性チャーリー（サンサライ・リー）、コロンビアの麻薬組織のアントニオといった多彩なキャラクターが登場します。

一方、失意のギタリスト少女ナーシア（川村かおり）は、バンドを解雇され、東京の夜を彷徨っています。彼女は頭痛を抱えながら、偶然にもノグチの新たな実験台にされそうになります。ノグチを追っていたエルビスがナーシアの頭痛薬を奪い取ることで、物語はさらなる混乱へと進展します。

登場人物の交流

ナーシアはその後、チャーリーに拾われ、エルビスとの一悶着が起き、さらにはライトと出会うという運命的な展開が待ち受けます。ライトはナーシアに心の隙間を抱えており、二人は互いに心を通わせる中で、トウキョウ・ホリディを追い求める旅に出ます。一方で、チャーリーは自身の利得のためにエルビスをそそのかし、二人の関係は徐々に緊張感を増していきます。

結末とテーマ

物語は、ナーシアとライトがトウキョウ・ホリディを手に入れ遭遇する危機と、それに対する彼らの人間関係の深まりを描きながら進展します。最終的に、彼らはノグチの実験室にたどり着くが、そこでアントニオとの衝突が待っており、複雑な人間ドラマと緊迫したアクションが展開されます。

製作情報

『東京の休日』は、35mmのスタンダード・サイズでカラー、モノラルの音声仕様で、上映時間は96分です。1992年4月22日にはVHSビデオソフトが発売されましたが、DVDは未発売です。撮影は1990年10月から12月まで行われ、キャストやスタッフの熱い思いが込められた一作です。

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