東京シティ・バレエ団

東京シティ・バレエ団は、1968年に設立された日本のプロフェッショナル・バレエ団である。日本国内におけるバレエ団としては初めて合議制を導入した組織として知られる。創設当初は東京都調布市に本拠を置いていたが、現在は東京都江東区住吉の江東区児童会館内に活動拠点を構えている。主な定期公演の場は、江東区公会堂であるティアラこうとうであり、年間を通じて多数の公演を行っている。

設立と歴史

東京シティ・バレエ団は、1968年に有馬五郎、石田種生、内田道生、橋本洋、野口辰雄という5名の発起人によって設立された。翌1969年には、『ジゼル』をもって初の公演を実施。設立当初から、古典バレエの伝統を大切にしながらも、現代的な創作バレエにも積極的に取り組む姿勢を打ち出していた。

団体の歴史における大きな転換点の一つが、1994年に日本のバレエ団として初めて自治体（江東区）との芸術提携を結んだことである。これにより、江東区のティアラこうとうを主な拠点として定期公演を行う体制が確立され、地域に根差した活動を強化していくこととなる。その後、組織の基盤を強化するため、2009年に一般財団法人へ移行し、さらに2016年7月には公益財団法人としての認定を受けた。

活動と特徴

東京シティ・バレエ団は、古典バレエ作品の全幕上演に加え、日本の振付家による創作作品や、クラシック音楽を新たな解釈でバレエ化する試みなど、幅広いレパートリーを展開している。主要なレパートリーには、

- 『白鳥の湖』
- 『ジゼル』
- 『くるみ割り人形』
- 『コッペリア』
- 『シンデレラ』
- 『エスメラルダ』
- 『真夏の夜の夢』
- 『ヘンゼルとグレーテル』
- 『ロミオとジュリエット』

といった古典作品のほか、ベートーヴェンの交響曲第7番をバレエ化した作品などがある。

舞台活動にとどまらず、バレエの普及と地域貢献にも注力している。学校へのアウトリーチ活動を積極的に行い、未来を担う子どもたちにバレエの魅力を伝えている。また、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団との連携による公演など、他の芸術分野との協働も行うことで、より豊かな舞台芸術を創造している。

日本国内におけるバレエ団の中では、東京バレエ団、松山バレエ団、牧阿佐美バレエ団といった最大手に次ぐ規模を持つ団体であり、その活動は国内有数と言える。多数の系列バレエ教室を運営しており、後進の育成にも力を入れている。また、国内外での公演実績もあり、その活動範囲は日本国内に留まらない。

近年の顕著な業績としては、2024年に第54回舞踊批評家協会賞を受賞したことが挙げられる。これは、長年にわたる質の高い舞台活動と、バレエ界への貢献が高く評価された結果と言えるだろう。

組織体制と主な人物

団の運営は理事会を中心に行われている。現在の理事長は安達悦子氏が務めており、かつては長きにわたり石井清子氏が理事長として団体を率いた。金井利久氏、中島伸欣氏、小林洋壱氏らが理事として名を連ねる。評議員には、石井清子氏、橋本洋氏、渡邊洋子氏、鳥海壮宜氏、長谷川孝男氏らがいる。

主な振付家としては、設立に関わった石田種生氏、石井清子氏、金井利久氏、中島伸欣氏、そして安達悦子氏などが挙げられ、これらの振付家たちの手によって、古典作品からオリジナルの創作作品まで、多岐にわたるレパートリーが生み出されている。

東京シティ・バレエ団は、設立以来、合議制による組織運営を基盤とし、古典と創作の両輪で日本のバレエ芸術を牽引してきた。地域との連携、教育普及活動、他分野との協働などを通じて、バレエの可能性を追求し続けている。

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