東京セネタースの歌

東京セネタースの歌

「東京セネタースの歌」は、昭和15年に発表された日本のプロ野球チーム、東京セネタースの公式球団歌です。この歌は、作詞を尾崎喜八、作曲を小松平五郎が手がけており、東京セネタースが最初の球団歌を持ったことを象徴する重要な作品となっています。

歴史的背景

東京セネタースは1936年に設立されました。創設者は正力松太郎で、彼の意向で「首都圏を本拠とする巨人軍のライバルチーム」を目指して出発しました。しかし、設立当初は球団歌を持たず、1940年にようやく「東京セネタースの歌」が公式に発表されました。

この発表は、紀元二千六百年を記念した行事の一環として、3月10日に行われた「東京セネタース五周年記念大会」の祝賀式で行われました。記念品として、日本コロムビア製造のSPレコードが関係者に配布されました。しかし残念ながら、同年の10月には英語禁止の通達を受け、球団名が「翼軍」に変更され、さらには1941年には名古屋金鯱軍と合併し、大洋軍となったため、「東京セネタースの歌」として演奏されたのはわずか半年ほどでした。

歌詞の背景と意義

尾崎喜八がこの歌詞を作った背景には、彼自身の自宅が当時のセネタースの本拠地である上井草球場に近い場所に位置していたことが影響しています。主力選手との親交もあり、歌詞に込められた思いは特別なものでした。

歌詞には、当時最も強力なライバルであった東京巨人軍への強い対抗意識が込められています。巨人軍の球団歌である「野球の王者」では、他の球団を「凡百のチーム」と揶揄し、自らを「そそり立つ巨木」と称していましたが、「セネタースの歌」ではそれに対するリベンジともいえるフレーズが盛り込まれており、巨人に挑戦する姿勢が表現されています。

特に「不動の巨木うち倒し」といった歌詞からは、他球団への挑発とも取れる表現が見受けられ、本人もそれについて述べています。これにより、東京セネタースの選手たちが「百獣狩らん精鋭ぞ」と高らかに誇りを持ってプレーする姿が想像されます。

セネタースの再興

東京セネタースの後身となる大洋軍は戦時中に解散し、その後旧セネタースの中心人物が再び球団を興し、現在の北海道日本ハムファイターズに繋がります。尾崎は多くの試合を観戦することはなかったものの、旧セネタースへの情熱は生涯変わることはありませんでした。このことは、彼が一貫して巨人軍に対する反発心を持ち続けたことからも伺えます。

現代における復活

最近のイベントでも「東京セネタースの歌」は復活を遂げています。2013年に埼玉西武ライオンズの企画「ライオンズ・クラシック」において、東京セネタースの歴史が紹介され、同歌が復活演奏されました。このように、時代を超えて多くのファンに愛され続けていることが、セネタースの歌の魅力であり、野球文化の中で重要な位置を占めていることを示しています。

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