翼軍

翼軍の歴史と背景

日本のプロ野球において、翼軍（つばさぐん）は1936年から1940年までの5年にわたって活動した球団です。もともと、東京巨人軍に対抗する「首都圏におけるライバル球団」が必要とされていた時期、有力な政治家や経済的支援を受けて設立されました。

設立の経緯

1936年1月15日、日本職業野球連盟の結成に尽力した正力松太郎が、東京巨人軍のオーナーに就任しました。その後、当時の西武鉄道の後援を受けて、東京セネタースとして設立されたのです。名称の「セネター」はアメリカの上院議員に由来しており、オーナーである有馬頼寧が貴族院議員であったことが影響しています。このような背景のため、青踏軍という別名も持つことになります。

本拠地と選手

当時の本拠地は東京府杉並区の上井草球場であり、監督として横沢三郎や苅田久徳、野口明らが名を連ねました。特に「セネタース100万ドルの内野陣」と言われた内野陣は、プロ野球全体に名を馳せるほどの実力を備えていました。1939年には新たに野口二郎が入団することで、チームの投手力も向上しました。

球団名の変更と解散

1940年、戦争の影響で球団名が日本語に改めることが求められ、翼軍と名を変えました。この変更には、有馬が大政翼賛会の理事を務めていた影響が強く指摘されています。1年後、名古屋金鯱軍と対等合併し、大洋軍が結成されましたが、最終的には経営難から解散に至ります。それに伴い、翼軍の名は歴史の中に消えていきました。

戦後のセネタースへの影響

1946年、プロ野球が再開されると、戦前の東京セネタースの選手たちが新たにセネタースとして再結成されました。しかし、経済的理由から翌年には東急フライヤーズへと名称が変わり、セネタースの名は消え去ってしまいます。これを皮切りに、数度の改名や移転を経て、現在の北海道日本ハムファイターズへと続く歴史が築かれることになります。

チームの成績と記録

翼軍の通算成績は次の通りです。

• - Aクラスに入ったのは3回（1937年春、1939年-1940年）で、連続でAクラス入りしたのは1939年から1940年の2年連続です。
• - 1940年には56勝、39敗、10引き分けという結果を残しました。最高勝率は.589で、最低は.382という数値を記録しています。特に、本拠地の上井草球場での戦績は、当時の野球ファンに強い印象を与えました。

ユニフォームや球団歌

ユニフォームのデザインも独自のもので、セネタース時代は主にグレー地に赤と紺の帯がありました。球団歌は1940年に発表された「東京セネタースの歌」で、東京巨人軍や大阪タイガースの影響を受けた応援歌となっています。特にこの歌は、球団が直面した逆境と希望を象徴するものでした。

まとめ

歴史は短いながらも翼軍は、日本のプロ野球における重要な1ページを刻んでいます。その後のセネタースや現在のチームに至るまで、もたらした影響は計り知れません。近年では、復刻されたユニフォームを着た西武ライオンズ選手たちが、かつての翼軍を偲ぶイベントも行われました。プロ野球の歴史の中で、翼軍の存在は忘れられないものとして、今日まで語り継がれています。

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