東京タイムズ

東京タイムズについて

東京タイムズ（とうきょうタイムズ）は、日本の首都圏においてかつて存在した新聞であり、その発行元である『東京タイムズ社』も国民に広く知られていました。一般的には「東タイ」（とうタイ）という略称で親しまれていました。

創刊の背景と歴史

東京タイムズは、1946年に岡村二一の手によって創刊されました。岡村は、同盟通信社で編集局次長として活動しており、その経験を生かして新聞の発行に乗り出しました。当時、彼は日本新聞会の理事として、戦後の新聞統制に取り組んでいて、地域ごとに一紙という「一県一紙」のシステムを構築するため奔走していました。戦後、彼は故郷の長野に戻り、政治家を志しましたが、公職追放処分に遭い、その道を断念しました。東京タイムズの創業に際しては、当時の市政会館の一部を借りてスタートしました。

創刊以来、朝刊として発行され、初期の代表的なコンテンツにはサトウハチローによるエッセイ「見たりきいたりためしたり」が加えられました。この連載は約10年間にわたって続き、新聞の人気を支えました。発行部数が30万以上に達したこともあり、栃木、千葉、神奈川、東京都内といった4地方版も展開されましたが、次第に中央紙の猛烈な攻勢により業績は悪化していきました。

1959年には、東映や旺文社と共に日本教育テレビ（NETテレビ、現テレビ朝日）を立ち上げるなど、革新的な試みを行いましたが、その後ニュース提供が行われないまま早々に撤退し、業績も伸び悩みました。その後、ロッテグループを経て徳間書店に買収され、再建に向けた努力がなされました。

徳間書店の代表、徳間康快は、新聞界における新しいスタイルを導入し、特にカラー紙面や一行13文字組みの採用など、革新を図りました。その後も多くの有名記者が在籍し、タブロイド判の「夕刊ニッポン」も同時に発行するなど、新たな道を切り開きました。しかし、1992年には売上の低迷から休刊を余儀なくされ、関連会社によるファクス新聞の発行を試みたものの、契約者の増加には至らず、最終的には東京タイムズ社は解散する運命をたどりました。

構成の特徴と印刷

東京タイムズは、発行当初から東京都内及び近隣の県の販売店に配信されていました。特に駅売店での販売に力を入れており、一部のページには商品価格が印刷されることもありました。本社は港区東新橋にありましたが、印刷工場部門は江東区に移転しました。

印刷に関しては、トクマプレスセンター名義で多くの業界紙を手がけ、さらに東京タイムズ本紙もその一環として印刷されていました。一部の印刷部門は独立した法人として運営され、今でも多く新聞を印刷しているとのことです。

競馬と文化的な側面

また、東京タイムズは中央競馬東京競馬場で「牝馬東京タイムズ杯」という重賞レースに冠協賛しており、実質的には1967年から1991年まで続いていました。休刊後もその名称は引き継がれていますが、レース名は「府中牝馬ステークス」と変更されました。

現在の動向

東京タイムズ社が解散した後も、その名は消えませんでした。2018年には、かつてのスタッフである武野武志が中心となり、WEB版として再スタートを切っています。かつての紙面の情熱が新たにデジタル分野で息を吹き返すこととなり、多くの読者との再会が期待されています。

このように東京タイムズは、新聞界の激動の中で多くの変革と挑戦を経験し、今なおその影響を感じる存在となっているのです。

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