東京四大学

東京四大学

東京四大学とは、旧制高等学校をルーツとする学習院大学、武蔵大学、成蹊大学、成城大学の4つの私立大学を指す名称です。これらの大学は、東京都内に位置し、戦後の新制大学としての設立以来、学生や教職員の間で活発な交流が行われています。

旧制高等学校からの系譜

東京四大学の前身となる旧制高等学校は、もともと官立のナンバースクールのみでしたが、後に私立にも設立が認められました。旧制武蔵高等学校、旧制成蹊高等学校、旧制成城高等学校は、第二次高等学校令に基づき設立され、当時の旧制高等学校の中でも数少ない7年制を採用していました。旧制学習院高等科は、宮内省管轄の特殊な教育機関でしたが、7年制高等学校と同様の教育システムを持っていました。

連合大学構想

第二次世界大戦後、学制改革により、4つの旧制高校は新制大学への移行を計画しました。当初、小規模な旧制高校を母体とした大学設立は認められないという文部省の方針があり、また各校にとっても単独での大学設立は大きな負担でした。そこで、各校の特色や伝統を活かし、教員や資源を有効活用するため、「東京連合大学」を設立する構想が持ち上がりました。

この構想は、当時の知識人である天野貞祐や安倍能成らが中心となり、宮本和吉や高橋穣らに働きかけたものでした。「東京連合大学共立の趣意書」には、各校が得意とする学部・学科を持ち寄り、英国のカレッジ制に似た総合大学を目指す構想が記されていました。具体的には、以下のような学部・学科の分担が検討されました。

学習院：文政学部（政治、哲学、文学科）、理学部（物理、化学科）
武蔵：文学部（国文、英文学科）、理学部（数学、化学科）
成蹊：政経学部（経済学科）、工学部（機械、建築、土木、工業経営学科）
成城：経済学部（経済学科）、文学部（国文、英文学科）、農学部（農芸化学科）

この構想は、詳細な検討が行われましたが、最終的には各校の足並みが揃わず、文部省の方針変更もあり実現には至りませんでした。しかし、この時の親密な関係は、その後の大学間の連携に繋がり、「四大学運動競技大会」や「クローバーの集い」などの合同イベントが開催されるようになりました。現在でも、図書館の相互利用や単位互換制度など、四大学間の協力関係は続いています。

内閣総理大臣の輩出

東京四大学は、旧制時代からの卒業生を含めると、多くの内閣総理大臣を輩出しています。

学習院大学：吉田茂、麻生太郎
武蔵大学：宮澤喜一
成蹊大学：安倍晋三
成城大学：羽田孜

リベラルアーツ5学園

近年では、東京四大学に甲南大学（兵庫県）を加えた5大学を「リベラルアーツ5学園」と称し、合同で大学説明会やイベントを行っています。これらの大学は、旧制高等学校時代からリベラルアーツ教育を行っており、現在でもその流れを汲む教育カリキュラムを提供しています。学生の総合的な人間力を養うことを目標とし、ウェブサイトを通じて情報発信も積極的に行っています。

関連事項

四大学運動競技大会
クローバーの集い
旧制高等学校
三大学連合
東京六大学
成成明学獨國武
学閥

参考文献

『武蔵学園史年報 (武蔵学園記念室編/刊) 2号 1996』
『戦後の自叙伝』安倍能成著、新潮社、昭和34年

外部リンク

リベラルアーツ5学園)

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