東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター

東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センターについて

東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター（IoA-UT）は、東京大学における天文学の中核的な研究機関です。旧東京天文台の教育研究部門を継承し、1988年に設立されました。国内外に観測施設を有し、天文学の最先端研究に取り組んでいます。

概要

当センターは、東京大学理学部天文学科の附属研究機関として発足しました。大学院重点化に伴い、大学院理学系研究科天文学専攻の研究機関としての役割も担うようになりました。旧東京天文台の木曽観測所を附属施設として引き継ぎ、現在はマグナム望遠鏡や東京大学アタカマ天文台（TAO）プロジェクトなどを推進しています。また、東京大学のみならず、全国共同利用天体観測施設として、他大学や企業の研究者にも観測機会を提供しています。

研究分野

当センターでは、以下の3つの分野で観測的研究を行っています。

電波天文学: 国立天文台野辺山宇宙電波観測所やASTE望遠鏡などを利用して、銀河や星形成、星間物理の研究を行っています。東京天文台の野辺山地区での研究を引き継いでいます。
銀河天文学: 国立天文台ハワイ観測所の共同利用観測や、マグナム望遠鏡を用いた観測研究を行っています。ビッグバン宇宙国際研究センターとも連携し、観測データの共有や解析を行っています。
恒星天文学: 可視光線や赤外線を用いた測光観測や分光観測を通じて、恒星物理学の研究を行っています。

観測施設

当センターは、以下の観測施設を運用しています。

木曽観測所: 長野県木曽町に位置し、105cmシュミット式望遠鏡を運用しています。1974年に開設され、現在も天体観測に活用されています。広視野の観測が可能で、CCDカメラなどの最新技術も導入されています。大学共同利用施設として、学外の研究者にも利用されています。
マグナム望遠鏡: 国立天文台とビッグバン宇宙国際研究センターが開発した、口径2.0mの全自動型光学反射式望遠鏡です。クエーサーや活動銀河核などのサーベイ観測を行っています。
60cm電波望遠鏡: VST-1は国立天文台野辺山宇宙電波観測所に設置されています。230GHzの一酸化炭素輝線のサーベイ観測を行っています。VST-2はかつてヨーロッパ南天天文台に設置されていましたが、現在は運用を停止しています。
東京大学アタカマ天文台 (TAO): チリのチャナントール山に建設中の天文台です。口径6.5mの赤外線望遠鏡を設置する予定です。現在は、miniTAO望遠鏡で観測を行っています。

一般公開

一般の方の見学も可能です。

国立天文台三鷹キャンパス特別公開時に、研究室見学や学生によるイベントが開催されます。
木曽観測所では、高校生向けの「銀河学校」や、中高生向けの「星の教室」が開催されています。また、8月上旬には特別公開も実施されます。
木曽観測所の構内は、年末年始を除き自由に見学できます。施設内は、ドーム観覧者室や展示室などを、冬季を除き見学可能です（午後0時〜午後4時、夏季は午後5時まで延長）。

進学

当センターでは、東京大学理学部天文学科の学部学生と、東京大学大学院理学系研究科天文学専攻の大学院生を受け入れています。

所在地

東京大学天文学教育研究センター: 東京都三鷹市大沢2-21-2 (国立天文台三鷹キャンパス内)
木曽観測所: 長野県木曽郡木曽町三岳10762-30
VST-1: 長野県南佐久郡南牧村野辺山2420-2 (野辺山宇宙電波観測所内)
マグナム望遠鏡: アメリカ合衆国ハワイ州マウイ島ハレアカラ山頂
東京大学アタカマ天文台: チリ共和国アントファガスタ州エルロア県サンペドロ・デ・アタカマ地区チャナントール山頂

関連組織

東京大学
東京大学大学院理学系研究科附属ビッグバン宇宙国際研究センター
東京大学宇宙線研究所

その他

民間企業との連携も行っており、ナノオプトニクス研究所（現：ナノオプトニクス・エナジー）が、当センター内に産学連携オフィスを設けています。同社は、アタカマ天文台のパイロット望遠鏡であるmini-TAOに搭載される中間赤外線分光器を製作しています。


当センターは、国内外の研究者と連携し、最先端の天文学研究を推進しています。教育活動にも力を入れており、次世代の天文学者を育成しています。今後も、宇宙の謎を解き明かすための研究を精力的に続けていくことが期待されます。

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