東京学士会院

東京学士会院の概要

東京学士会院（とうきょうがくしかいいん）は、1880年代から近代日本の学術界において重要な役割を果たした政府機関であり、1879年に設立されました。設立は文部卿西郷従道の提案に基づいており、研究者同士の議論を通じて日本の学術を発展させることを目的としていました。この機関は、後に帝国学士院を経て、現在の日本学士院が成立する礎となりました。

沿革

東京学士会院は1879年1月に公式に設立され、同年4月には「東京学士会院規則」が制定されました。設立当初、日本には森有礼によって作られた明六社など、知識人が集まる団体が存在しました。しかし、明六社はその後、学者だけでなく官僚や実業家も参加することで、親睦団体の性格が強まってしまいました。これにより、より専門的な学術団体の設立が求められるようになりました。

1890年には「東京学士会院規程」が勅令として施行され、このような背景の中で東京学士会院は組織を強化していきました。会員には各学問分野を代表する学者が選ばれ、定期的に会合や講演を開催し、『明六雑誌』の後継である『東京学士会院雑誌』を発刊しました。この雑誌は学問の普及に寄与し、国民への科学的な理解を促進する役割を果たしました。文部省の管轄のもと、必要な経費は同省の予算から支出され、文部卿は東京学士会院の会議に出席することが可能でした。

組織

前期

設立時、東京学士会院の会員数は40名に定められていましたが、初代の36名は暫定的に21名とされました。文部大輔の田中不二麿は、当時の著名な学者たちに対して勧めを行い、最終的に福澤諭吉や西周、神田孝平などが選ばれました。興味深いことに、初代会員には多彩な分野の学者たちが名を連ね、定期的な選挙により新たな会員が決定される仕組みが導入されました。

後期

明治23年に会員規程の改訂が行われ、会員数の増加が図られました。これにより、法学者として有名なギュスターヴ・エミール・ボアソナードも参加し、外国から招かれた学者たちも活動に寄与するようになりました。組織の長は選挙により選出された会長が務め、会長の任期は6か月とされていましたが、再任が可能であったため、何度も再任されるケースが見られました。

東京学士会院内では官民間の対立が存在し、会長としての福澤諭吉は、組織が文部省や明治政府に依存することを嫌い、1880年代にはその意見を持って脱退を決意しました。この決定以降、彼に従った多くの学者たちが共に新たな団体を設立し、さらなる学術活動を展開しました。

結論

東京学士会院は当時の日本において学術の発展を促す重要な存在でした。その運営・構成には数多くの知識人が協力し、国民の学問への理解を深めるための重要な舞台となったのです。この機関の後身である日本学士院は、近代日本の学問体系の発展に今も貢献していると言えます。

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