浦和連隊区

浦和連隊区

浦和連隊区（うらわれんたいく）は、大日本帝国陸軍が設けた連隊区の一つであり、主に埼玉県全域を管轄し、徴兵や召集といった兵事に関する事務を取り扱った組織です。これらの実務は、浦和に置かれた連隊区司令部によって遂行されました。太平洋戦争末期には、地域防衛の必要性から、連隊区と同じ区域に浦和地区司令部が設置され、地域防衛の役割も兼ねるようになりました。

設立と組織

浦和連隊区は、昭和16年（1941年）11月1日、陸軍管区表の改定に伴い新設されました。この改定は、北海道を除いた国内各県に原則として一つずつ連隊区を置くという方針に基づくものでした。浦和連隊区の管轄区域は、それまで本郷連隊区が管轄していた埼玉県全域と定められ、東部軍管区東京師管（後に東京師管区と改称）に属しました。

兵事事務に加え、戦況が厳しさを増した昭和20年（1945年）には、軍の作戦機能と行政機能の分離が進められる中で、軍管区や師管区に司令部が設けられる動きが加速しました。これに伴い、同年3月24日には浦和連隊区の管轄区域と同じ範囲に浦和地区司令部が設置され、地域防衛の任務を担うことになりました。地区司令部の司令官やその他の要員は、浦和連隊区司令部の人員が兼任する体制が取られました。

埼玉県の兵事管轄の変遷

浦和連隊区が新設されるまで、埼玉県における兵事管轄は、県外に司令部を置く組織が担う時期が長く続きました。県内に司令部が置かれたのは、一時的に設置された熊谷連隊区の時代のみでした。

明治21年（1888年）5月14日に大隊区司令部条例が制定され、大隊区が設けられた際、埼玉県は麻布大隊区（入間郡・高麗郡）、高崎大隊区（比企郡など西部・北部）、本郷大隊区（北足立郡など東部・南部）の三つの大隊区に分割されて管轄されていました。その後、明治23年（1890年）5月20日には麻布大隊区の埼玉県内管轄区域が高崎大隊区に移管され、埼玉県は高崎大隊区と本郷大隊区の管轄となりました。

明治29年（1896年）4月1日、大隊区は連隊区に改組され、埼玉県は高崎連隊区と本郷連隊区の管轄となります。同年には郡制施行に伴う郡の統廃合があり、陸軍管区表も改正されて、翌明治30年（1897年）4月1日には管轄区域が再編されました。この時、高崎連隊区は入間郡など五つの郡を、本郷連隊区は北足立郡など四つの郡を管轄しました。

明治40年（1907年）10月1日、日本陸軍の内地19個師団体制に対応するための陸軍管区表改定により、熊谷連隊区が新設されました。熊谷連隊区は高崎連隊区から埼玉県内の区域を編入し、この時期、埼玉県は熊谷連隊区と本郷連隊区によって分担管轄されることになります。大正12年（1923年）3月31日には熊谷連隊区に新たに川越市が管轄区域として加えられました。

大正14年（1925年）5月1日、日本陸軍の第三次軍備整理に伴い熊谷連隊区は廃止され、その旧管轄区域は二つに分割されました。これにより、埼玉県は再び麻布連隊区（川越市・入間郡など）と本郷連隊区（北足立郡など）の管轄となります。

昭和9年（1934年）3月7日には、本郷連隊区に熊谷市、川口市、浦和市といった市部が追加され、管轄区域に変更がありました。

そして、昭和16年（1941年）4月1日、本郷連隊区が麻布連隊区が管轄していた埼玉県の区域を編入し、ついに埼玉県全域が本郷連隊区の管轄となります。その僅か半年後の同年11月1日、陸軍管区表の再改定により浦和連隊区が新設され、旧本郷連隊区から引き継いだ埼玉県全域の管轄を引き継ぎ、終戦までその役割を担いました。

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