東京湾観音

東京湾観音：平和を願う巨大な観音像

東京湾観音は、千葉県富津市の大坪山山頂に位置する高さ56メートルの巨大な観音像です。東京湾を見守るように建立されたこの観音像は、単なる観光名所としてだけでなく、平和への祈りと戦没者の慰霊という深い意味を持っています。

歴史

東京湾観音は、宇佐美政衛によって1961年に建立されました。宇佐美は、第二次世界大戦中に東京大空襲を経験し、多くの犠牲者を目の当たりにしたことから、世界平和への強い願いを抱くようになりました。戦後、富岡八幡宮の建設を支援する傍ら、戦没者の慰霊と世界平和を祈念するため、私財を投じて東京湾観音の建立を決意しました。1956年の着想から5年の歳月と1億2000万円の費用をかけて、ついに完成しました。

制作者

観音像の原型を制作したのは、仏像彫刻家の長谷川昂です。長谷川は、法隆寺夢殿の救世観音をイメージし、「仏教伝道の最終地点を千葉にしたい」という思いを込めて制作に取り組みました。観音像の胎内には、長谷川の作品が多数展示されています。

構造

東京湾観音は、当時の最新建築技術を駆使して建てられました。高さ56メートルの巨大な像を支えるため、地下10メートルに16本の支柱が埋められ、3メートルの軸が全体を支えています。建設工事は長期間に及びましたが、事故は一度も起こらなかったそうです。胎内には314段の螺旋階段があり、20階までの各階に胎内仏が祀られています。13階の腕の位置にある「腕展望」と、頭部に当たる19階の「宝冠部展望」からは、東京湾、房総半島、そして天候に恵まれれば関東平野全域を見渡すことができます。遠くには富士山の雄大な姿を望むこともできます。最上階までの往復には、約20分から30分かかります。

ロケ地として

東京湾観音は、その独特な景観から、テレビや映画のロケ地としても度々利用されています。過去には、観音像の顔にマスクを掛ける番組や、映画『千里眼』『ゼイラム2』のロケにも使用されました。

アクセス

東京湾観音へのアクセスは、公共交通機関を利用する場合、JR内房線の大貫駅または佐貫町駅から日東交通のバスに乗り、「観音下」バス停で下車後、山道を徒歩約20分です。自動車の場合は、館山自動車道の富津中央インターチェンジから約5分です。

まとめ

東京湾観音は、平和への祈りと戦没者慰霊の想いが込められた、壮大な観音像です。その美しい姿を眺めるだけでなく、胎内を巡り、展望台からの景色を楽しむことで、より深く東京湾観音の魅力を感じることができるでしょう。

所在地
千葉県富津市小久保1588

外部リンク
東京湾観音HP
宇佐美ビル株式会社

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