東京美術学校 (旧制)

東京美術学校について

東京美術学校は、日本の美術教育の歴史において重要な役割を果たしてきた官立の専門学校であり、1887年に設立されました。この学校は、東京芸術大学美術学部及び大学院美術研究科の前身であり、日本初の美術教員や美術家を育成するための機関として位置づけられています。略称は「美校」です。

当初の設立目的は、文人画を除く伝統的な日本美術の保護と振興でしたが、時が経つにつれて、より幅広い美術教育が求められるようになりました。設立当初は西洋美術の観点を取り入れていなかったため、次第に西洋画や彫塑、図案に関する教育をも行うように変化していきました。

教育課程と構成

東京美術学校の教育課程は、修業年限が5年で構成されています。最初の2年は「普通科」として基礎的な技術や学科教育が行われ、次の3年間は「専修科」として専門的な知識やスキルが提供されます。このように、段階的な教育体系が整っており、学生は基礎から専門に至るまで、しっかりとした教育を受けることができました。

第二次世界大戦後、既存の学制改革により新制東京芸術大学が設立され、東京美術学校はこの新しい大学に integradaされる形でなくなりました。その結果、1952年に最後の卒業生を送り出した後、東京美術学校は正式に廃校となりました。

歴史的背景

設立当初、東京美術学校は男子校として運営されており、官立の高等教育機関は原則として男子のみの受け入れでした。一方で、東京音楽学校は男女共学であり、その中で女子の入学者数が多いという興味深い対比が見られました。これは、日本の教育界における性別の違いを反映したもので、各学校のルーツが異なっていたことが印象的です。

1786年（明治19年）から1887年にかけて、文部省図画取調掛の岡倉覚三（天心）とフェノロサが欧米での調査旅行を経て、本校の設立に尽力したことも見逃せません。この旅行は、美術教育全般に対する調査が目的であり、その報告をもとに、東京美術学校は1887年に公式に設立されました。

重要な校長と教官たち

設立後まもなく、学校の運営が始まる中で、初代校長として岡倉覚三が任命されました。彼は国外からの教官、特にフェノロサを副校長に迎え、伝統呼応の美術スタイルを学校教育に取り入れていきました。しかし、岡倉校長に対する批判が高まり、1898年には「美術学校騒動」が発生しました。この騒動により、岡倉と数名の教官たちは辞任し、他の仲間たちとともに日本美術院を結成しました。

その後、1901年から1932年にかけて長期間在任した正木直彦が校長として学校の制度改革を行い、組織は安定化しました。彼の功績を称えた「正木記念館」が1935年に設置されるほど、正木の影響は大きかったのです。

最後に

東京美術学校は、その後の東京芸術大学における美術教育の基礎となりました。歴史を通じて、伝統的な日本美術だけでなく、近代西洋美術の教育をも取り入れるなど、時代の流れに沿った教育の柔軟性を持っていました。廃校となった後も、その存在は美術教育において重要な足跡として語り継がれており、今後の美術教育にも影響を与え続けています。

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