東京農業大学地域環境科学部・大学院地域環境科学研究科

東京農業大学地域環境科学部・地域環境科学研究科

東京農業大学地域環境科学部（Faculty of Regional Environment Science）および同大学大学院地域環境科学研究科（Graduate School of Regional Environment Science）は、地域社会が直面する環境問題、資源の持続可能な利用、美しい景観の維持・創造といった課題に取り組む専門家を育成するため、関連分野の教育・研究を推進する組織です。

これらの組織は、広範な農学分野の一環として、特に林学、農業工学、造園学、地域創生学といった専門領域を深く探求しています。地域環境科学部は、1998年にそれまでの農学部の一部を再編成する形で設立されました。一方、大学院地域環境科学研究科は、2021年に既存の農学研究科を改組することにより設置されました。

組織構成

地域環境科学部は、以下の4つの学科で構成されています。

森林総合科学科
生産環境工学科
造園科学科
地域創成科学科
自然再生分野
地域マネジメント分野

大学院地域環境科学研究科には、学部学科に対応する以下の4つの専攻が設置されています。

林学専攻
農業工学専攻
造園学専攻
地域創成科学専攻

教育・研究の特色

本学部・研究科では、地域環境に関連する専門知識に加え、現場での実践に活かせる技術の習得を重視した教育を行っています。特に生産環境工学科と造園科学科の一部の教育プログラムは、日本技術者教育認定機構（JABEE）の認定を受けており、国際的に通用する質の高い技術者教育を提供している点が特徴です。

また、卒業生が地域環境分野で活躍しており、特に公務員試験においては多数の合格者を輩出していることも、本学部・研究科の教育成果を示す重要な点です。

各学科・専攻の紹介

造園科学科・造園学専攻
造園科学科は、地域環境科学部の中でも最も長い歴史を持つ学科の一つです。その起源は、1924年に造園家の先駆者である上原敬二によって設立された東京高等造園学校にまで遡ります。この学校は1942年に私立東京農業大学と合併し、専門部造園科として新たなスタートを切りました。その後、時代の変化に合わせて緑地土木科、緑地科と名称を変更し、1949年の学校教育法に基づく新制大学への移行時には農学部緑地学科となりました。1956年には農学部造園学科と改称され、1998年の学部改組を経て現在の造園科学科となりました。

大学院における造園学の教育・研究は、1990年に農学研究科に修士課程の造園学専攻が設置されたことから始まりました。2021年の地域環境科学研究科設立に伴い、この専攻は地域環境科学研究科に移管され、現在に至ります。

造園科学科の研究室組織は、環境計画・設計、ランドスケープ資源・植物、景観建設・技術という3つの主要分野で構成され、景観計画学、ランドスケープデザイン・情報学、造園植物・樹芸学、緑化植栽学、庭園技法材料学の5研究室が設置されています。

地域創成科学科・地域創成科学専攻
地域創成科学科は、2017年に地域環境科学部に新設された比較的新しい学科です。この学科の大きな目的は、本学の「人物を畑に還す」という建学の精神を現代的に捉え、「人物を地域に還す」という形で具現化することです。具体的には、「農」を核とした伝統産業の振興を基盤とし、生物多様性の保全と生態系への配慮、さらには災害への備えを含む農業基盤の適切な管理技術、環境評価手法などを通じて、人々が安心して安全に暮らせる持続可能で豊かな地域社会を創り出すことに貢献する人材を育成することを目指しています。

教育・研究は、自然再生分野と地域マネジメント分野の二本柱で行われます。自然再生分野には保全生態学研究室と地域環境保全学研究室が、地域マネジメント分野には地域環境工学研究室と地域デザイン学研究室が置かれ、各分野の専門性を深めています。これらの研究室の中には、かつて東京農業大学短期大学部にあった環境緑地学科の教育・研究資源を発展的に継承しているものもあります。

森林総合科学科・林学専攻
森林が持つ様々な機能や、森林資源を持続可能な形で利用・管理していくための知識と技術を専門的に学ぶ分野です。

生産環境工学科・農業工学専攻
農業生産活動を支える基盤（水利施設、農地など）の整備や保全、農村地域の環境維持、さらには自然災害からの復旧・軽減に関わる技術など、農業工学の幅広い領域を扱います。JABEE認定プログラムを提供しています。

沿革

1924年：東京高等造園学校が創設（造園科学科の起源）。
1942年：東京高等造園学校が私立東京農業大学と合併し、専門部造園科を設置。
1943年：専門部造園科を緑地土木科に名称変更。
1946年：緑地土木科を緑地科に名称変更。
1949年：学校教育法による新制大学移行に伴い、農学部緑地学科に改組。
1956年：農学部造園学科に名称変更。
1990年：大学院農学研究科に造園学専攻（修士課程）を設置。
1998年：農学部を改組し、地域環境科学部を開設。造園学科は造園科学科となる。
2017年：地域環境科学部に地域創成科学科を開設。
2021年：農学研究科を改組し、地域環境科学研究科を開設。造園学専攻は地域環境科学研究科へ移管。
* 2024年：造園科学科（前身を含む）創立100周年を迎える。

本学部・研究科の卒業生は、農林水産業、教育、建設業、自治体職員など、多岐にわたる分野で地域や社会に貢献しています。

参考文献・外部リンク

（本記事の作成にあたっては、関連資料や大学公式サイトを参照しています。具体的な文献リストや外部リンクは省略します。）

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