東京都中央卸売市場食肉市場

東京都中央卸売市場食肉市場：日本の食肉流通を支える巨大市場

東京都中央卸売市場食肉市場は、東京都港区港南に位置する公設の卸売市場です。都内に11か所ある東京都中央卸売市場の一つであり、牛の処理頭数と取引金額において日本最大の規模を誇ります。

歴史

食肉市場の歴史は、明治初期に遡ります。

1867年（慶応3年）：横浜元町の中川屋嘉兵衛が、現在の港区白金に屠場を開設したのが始まりです。当時の屠牛は、青竹で囲まれた神聖な場所で、木槌で牛を昏倒させ、頸動脈を切って失血死させるという方法で行われていました。
1869年（明治2年）：屠場は築地の官営施設に統合されましたが、売肉商人からの反発により、数年で麻布へ移転、その後廃止されました。
1870 - 1890年（明治3 - 22年）：その後、屠場は都内各地を転々とします。本所柳原町や大久保余丁町では、豚の処理が専門的に行われていました。
1871年（明治4年）：屠牛取締の布告により、屠場は人家から離れた場所への設置が義務付けられ、許可制となりました。
1877年（明治10年）：浅草千束の官営施設に統合されますが、排水問題から近隣住民の反対運動が起こり、民営化を経て閉鎖されました。
1905年（明治37年）：白金今里、南千住など4施設に集約されました。
1907年（明治39年）：「屠場法」制定
1938年（昭和13年）：芝浦に東京市営屠場が開設され、都内の既存施設は順次統合・閉鎖されました。
1953年（昭和28年）：「と畜場法」が制定され、芝浦の施設内に枝肉取引所が設置されました。
1966年（昭和41年）：芝浦の施設は、中央卸売市場の一部として再編され、現在の東京都中央卸売市場食肉市場となりました。
1975年（昭和50年）：東京都芝浦食肉事業公社が設立され、事業を開始しました。
1980年（昭和55年）：東京都直営となりました。

対象獣畜

と畜場法では、牛、馬、豚、めん羊、山羊が「獣畜」と定義されています。これらの獣畜は、と畜場以外の場所で食用に供する目的で屠殺することは禁じられています。ただし、猪や鹿などは規制対象外です。施設内では、牛や馬を「大動物」、それ以外を「小動物」と区分しています。

設備

市場には、以下の設備が備わっています。

大動物ライン：3系統
小動物ライン：2系統（二酸化炭素麻酔方式）

役割

食肉市場は、食肉の安定供給に不可欠な存在です。全国各地から集められた食肉は、ここで取引され、加工業者や小売業者を通じて消費者の食卓へと届けられます。市場は、食肉の価格形成や品質管理においても重要な役割を担っています。

関連事項

食肉
屠畜場
東京都中央卸売市場
大宮屠場

参考文献

東京屠場史雑考　 竹内 貞一 著 日本獣医師会編纂係 編　1946年
新修港区史　 東京都港区役所編 1979年
四十年そして未来へ 東京食肉市場 2007年

外部リンク

食肉市場（と場を含む）のご紹介|各市場のご紹介|東京都中央卸売市場


東京都中央卸売市場食肉市場は、日本の食肉流通を支える重要な拠点です。その歴史と役割を知ることで、食肉が私たちの食卓に届くまでの過程をより深く理解することができます。

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