東京都交通局8900形電車

東京都交通局8900形電車

東京都交通局8900形電車は、2015年に新たに導入された路面電車で、主に荒川線で運用されています。この車両は、旧型の7000形を代替するために製造されました。8900形は、基本的な性能が8800形に相当していますが、外観や機能面でいくつかの改良が施されています。

導入経緯

8900形電車は、2015年9月に8901号車と8902号車（オレンジ色）が営業運転を開始しました。その後、8903号車と8904号車（ブルー）、8905号車と8906号車（ローズピンク）、さらに8907号車と8908号車（イエロー）が順次導入されました。一両あたりの製造コストは約1億8000万円で、当初の導入計画では16両の生産が予定されていましたが、最終的には8両が製造され、その後7000形から改修された7700形が補完されることとなりました。

車両の特徴

8900形の設計には「人にやさしい」をテーマに、客室内や運転席が見直されました。また、8800形からの技術や実績を活かし、現場からの意見も取り入れて改良が行われています。外観は直線的なデザインを基にした洗練されたもので、見やすい視界が確保されるよう工夫されています。

フロント部分には平面ガラスが用いられ、全体的なカラーリングは8800形を基にしていますが、オレンジ、ブルー、ローズレッド、イエローのストライプが施されています。屋根には冷房装置や集電装置などが設置されていますが、小型化により補助電源装置は床下に移動されています。

主要機器と装置

8900形は、東洋電機製造のIGBT素子を使用したVVVFインバータ制御を採用し、2つの出力60kWの三相誘導電動機を搭載しています。ブレーキシステムは、回生・発電ブレーキを併用した電気空気ブレーキ式で、安定したブレーキ力が維持される設計となっています。また、デッドマン装置などの安全装置も装備し、運行中の安全性を高めています。補助電源にはIGBT素子を使用した静止形インバータが搭載されています。

車内設備

車内の座席デザインには、都電荒川線のマスコットキャラクター「とあらん」が描かれた青いバラの模様が使用されています。座席の配置は優先席、ロングシート、車椅子スペースを左右対称に配置し、利便性が考えられています。また、手すりやつり手にはデザイン的な工夫が施され、快適な乗車体験が追求されています。行先表示器はLED式で、窓は紫外線・熱線を吸収するガラスが使用されるなど、環境面にも配慮されています。

運行状況

8900形は、デビューから現在まで多くの乗客に親しまれ、運行を続けています。デビューイベントや記念行事では、都電荒川線の魅力を広く伝え、地域における公共交通機関の重要性を再認識されています。8900形電車の導入により、都電の運行形態にも新たな風が吹き込まれています。

このように、東京都交通局8900形電車は、従来の車両に比べて多くの改善が施され、使いやすく、安全な路面電車として広く利用されています。

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