東京都港湾局専用線

東京都港湾局専用線の歴史

東京都港湾局専用線は、かつて東京港で運営されていた専用の鉄道網で、東京港の整備とともに発展してきました。この鉄道の歴史は、特に20世紀初頭からの東京の対外貿易の拡大に密接に関連しています。

東京港の整備と芝浦駅の開設

長い間、東京は横浜港に貿易を依存していましたが、1923年の関東大震災を契機に東京港の整備が本格化しました。1926年には芝浦地区に日の出埠頭が完成し、1930年には芝浦駅が開業しました。この鉄道は国鉄の営業線とされ、港への物流の拠点となりました。

1941年には東京港が開港し、日中戦争の影響で対外貿易も行われました。これに伴い、陸軍専用線が芝浦埠頭まで延長されました。戦後は、進駐軍による接収を経て、1958年には返還が完了し、東京都が運営することとなりました。

越中島支線の建設

東京の物流拠点としての地位を強化するため、1929年には亀戸から小名木川駅までの貨物支線が開通し、さらに越中島駅の整備が進みました。1945年には越中島駅までの線路が完成し、1958年に正式開業となりました。この支線は水運との連携を意図していました。

豊洲と晴海地区の整備

戦後、重工業地帯の欠如が影響し、東京都は豊洲埠頭の整備を進めました。1950年には豊洲石炭埠頭が供用開始され、同時に越中島駅から豊洲埠頭までの深川線も開業しました。ここでの貨物輸送は主にコークスや石炭等、多岐にわたりました。

さらに1957年には晴海線が開通し、晴海地区の接収解除後に整備が行われました。東京都は貨物の取り扱いを合理化するため、東京ポートサービス協会に業務を委託しました。

繁栄と衰退の時代

1960年代に入ると、東京都港湾局専用線は24キロメートルの延長を持つまでに成長し、年間170万トンの貨物を輸送しました。しかし、1970年代に入りトラック輸送の普及やエネルギー革命が進むと、専用線の利用は減少し始めます。

1976年には多くの鉄道計画が廃止され、1985年以降は多くの専用線が廃止されていきました。1989年には晴海線が廃止され、東京都港湾局専用線は全廃となりました。このように、専用線は驚くべき速度で衰退し、東京港の物流インフラは大きな変化を遂げました。

現在の状況

廃止された専用線の跡地の多くは再開発されていますが、晴海線の晴海橋梁は貴重な遺構として残されています。同橋梁は現在、遊歩道として利用されており、都市の新たな景観を作り出しています。また、東京BRTの晴海BRTターミナルも、専用線の跡地に構築され、地域の交通拠点となっています。

結論

東京都港湾局専用線の歴史は、東京港の発展とともに歩んできたものです。かつて重要な物流インフラであったこの路線は、時代の変化により役割を終えましたが、その歴史は今も私たちに港の重要性と交通の変遷を思い出させてくれます。

もう一度検索