小名木川駅

小名木川駅 (おなぎがわえき) - 知られざる貨物輸送の歴史

小名木川駅は、かつて東京都江東区に存在した日本貨物鉄道（JR貨物）総武本線貨物支線、通称「越中島支線」の貨物駅でした。現在は廃止されていますが、その歴史は東京の物流を支えた重要な役割を物語っています。

歴史

1929年（昭和4年）3月20日：小岩駅から延伸し、小名木川駅が開業。
1958年（昭和33年）11月10日：小名木川駅 - 越中島貨物駅間が開業。これにより、東京湾岸へのアクセスが向上しました。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄分割民営化に伴い、JR貨物の駅となります。
2000年（平成12年）3月11日：貨物列車の設定が廃止され、業務は隅田川駅へ移管。小名木川駅の役割は縮小します。
2000年（平成12年）12月2日：ついに廃止。70年以上の歴史に幕を閉じました。

取り扱い貨物

廃止時点では、以下の貨物を取り扱っていました。

コンテナ貨物
車扱貨物

駅概要

小名木川駅は、総武本線貨物支線の駅として1929年に開業し、付近を流れる小名木川を利用した水陸の物流連絡拠点として機能しました。最盛期には、5面のコンテナホーム、6本のコンテナ荷役線、4面の有蓋車用貨物ホーム、6本の貨物荷役線を有する、東京都東部の鉄道貨物輸送における重要な拠点でした。

しかし、貨物輸送形態の変化と取り扱い量の減少により、2000年に廃止。業務は隅田川駅に移管されました。

総武本線越中島支線の貨車牽引は、かつては新小岩機関区のD51形などの蒸気機関車が担当し、末期には佐倉機関区（後の千葉機関区）のDD51形などが担当しました。また、小名木川駅構内での貨車入れ換えや越中島貨物駅への貨車牽引は、京葉臨海鉄道へ委託されていた時期もあり、同社の機関車を見ることができました。

かつては貨物輸送だけでなく、都営地下鉄大江戸線の12-000形を木場車庫へ搬入する際に、小名木川駅まで甲種車両輸送が行われていました。また、付近には都内唯一の車両製造メーカー工場であった汽車製造東京製作所（後の川崎重工業へ合併）への専用線があり、1972年の工場閉鎖まで甲種車両輸送列車の始発駅となっていました。151系、181系、153系、157系、165系、101系、103系、113系、115系、455系の他、0系新幹線、私鉄・地下鉄車両、海外向け車両もここから輸送されました。

現在、駅構内の線路や施設はほとんどが撤去され、待避線が残るのみとなっています。これは越中島貨物駅の構内扱いとなっています。撤去された部分は現在もJR貨物の所有地であり、一部はジェイアール貨物・不動産開発が管理する月極駐車場として利用されています。2010年6月4日には、跡地を活用した複合商業施設「アリオ北砂」がオープンし、地域住民の生活を支えています。

小名木川駅は廃止されましたが、駅東側にある明治通りの交差点名は「小名木川駅前」として、その名残を今に伝えています。

利用状況

駅廃止までの年間発着トン数の推移は、資料をご確認ください。

隣の駅

東日本旅客鉄道（JR東日本）

総武本線 貨物支線（越中島支線）

新小岩操駅 - 小名木川駅 - 越中島貨物駅

脚注

[参考文献]

関連項目

日本の鉄道駅一覧
* 廃駅

小名木川駅は、人々の記憶から薄れつつありますが、東京の鉄道貨物輸送を支えた重要な駅として、その歴史を語り継いでいく必要があります。

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