東京銀行協会ビルヂング

東京銀行協会ビルヂングは、かつて東京都千代田区丸の内一丁目に位置していたオフィスビルです。このビルは、三菱地所と一般社団法人全国銀行協会（旧東京銀行協会）が共同で所有していました。特筆すべきはその外観で、旧東京銀行集会所のファサードを保存しており、歴史的な要素と現代的なオフィス機能が融合した建築物でした。なお、近隣に「東銀ビルヂング」という名称の建物がありましたが、これは東京銀行協会ビルヂングとは別の建物です。

歴史的背景

この場所には、もともと三菱地所が所有する2,987平方メートルと、東京銀行協会が所有する1,323平方メートルの土地がありました。そこには、「東京銀行集会所（銀行倶楽部）」と「銀行会館」という二つの建物が建っていました。東京銀行集会所は、1916年（大正5年）に竣工したもので、横河民輔が設計したモダンルネサンス様式の建築物でした。しかし、東京銀行集会所にはオフィス機能がなく、銀行会館と合わせてもスペースが不足していたため、国際会議の需要にも対応できない状況でした。さらに、築70年が経過し、老朽化が著しかったため、1985年秋から東京銀行協会は地権者である三菱地所と建替えに向けた協議を開始しました。

1986年に建替え計画が新聞報道されると、文化庁や東京都生活文化局、日本建築学会などから、歴史的建造物である東京銀行集会所の保存を求める声が相次ぎました。その結果、1989年に、皇居に面した西面（後の協議で南面も同様に）と建物内部の主要部分を一定規模で保存するという合意に至りました。

既存の建物は1990年9月から解体され、1991年4月に本体工事が着工しました。そして、1993年9月に新たなビルが竣工しました。

しかし、2014年11月には、この東京銀行協会ビルヂングと北隣の銀行会館、東隣のみずほ銀行前本店ビルを一体的に建替えることが発表されました。これらの既存ビルは、2016年度下期から解体されました。そして、2020年11月には、跡地にみずほ丸の内タワーと丸の内テラスを構成するアネックス棟の2つのビルが竣工しました。

主要テナント

東京銀行協会ビルヂングには、会員制の銀行倶楽部のほか、東京海上アセットマネジメント、四国電力東京支社、在日ブリティッシュ・コロンビア州政府事務所などが入居していました。全国銀行協会本部は隣接する銀行会館内にありましたが、2016年11月28日に朝日生命大手町ビルに移転しました。

建築の特徴

このビルの大きな特徴は、和田倉濠に面した西側と南側に保存された旧東京銀行集会所の煉瓦造りの外構です。これは、「一丁ロンドン」と呼ばれた当時の面影を今に伝えるものでした。しかし、このファサードは2016年に解体され、新しいビルに復元されることはありませんでした。

このビル建設前後から、ファサード保存の手法が広く採用されるようになり、丸の内地区では日本工業倶楽部会館も同様の方法で旧建物を保存しています。

東京銀行協会ビルヂングは、北隣の銀行会館の余剰容積率を有効活用するために、銀行会館の増築工事という名目で建設されました。ビルの1階から8階の一部と15階から19階は銀行協会の専有部分、8階の一部から14階は三菱地所の専有部分とされました。協会専有部分のうち協会が使用しない部分は三菱地所が借り上げ、転貸していました。

このビルは、歴史的建造物の要素を残しつつ、現代的なオフィス機能を提供していた点で、丸の内地区のランドマークの一つとして記憶されています。

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