朝日生命大手町ビル

朝日生命大手町ビルは、東京都千代田区大手町に位置していた超高層ビルです。江戸通りと永代通りが交差する北東角に聳え立ち、その存在感は周辺の景観を特徴づけていました。このビルは、第14回BCS賞を受賞するなど、建築物としても高い評価を受けていました。

しかし、再開発計画「TOKYO TORCH」の推進に伴い、2022年10月から解体工事が開始され、その姿は過去のものとなりました。

概要

朝日生命大手町ビルの歴史は、1971年7月に竣工したことに始まります。朝日生命保険と東海銀行（現：三菱UFJ銀行）が共同で、東京都下水道局施設跡地の再開発プロジェクト「常盤橋地区再開発計画」の一環として開発を進めました。このビルは、丸の内界隈では初の超高層ビルであり、清水建設が初めて手掛けた超高層ビルでもあります。

竣工当初の名称は「朝日東海ビル」でした。東海銀行は地下1階の一部と地上4階を除く8階までを使用し、残りのフロアは朝日生命をはじめとする13社の事務所や8社の飲食店が入居していました。4階には、低層部の屋上を利用した庭園が設けられ、建物利用者の憩いの場となっていました。

東京メトロ東西線大手町駅と直結しており、地下商店街は隣接する日本ビルとも繋がっていました。また、308台収容の地下駐車場は、東隣のJXビル、大和呉服橋ビル、首都高速八重洲線とも連絡していました。

外観の特徴としては、低層部に厚さ4mm、上部には厚さ2.5mmのアルミニューム板2Sが使用され、壁面の単調さを避けるために窓を深く取り、陰影が強調されていました。頂部にはハロゲンランプを用いた天気予報板が設置され、天気記号が電光表示されていました。また、オープン当初は塔屋からレーザー光線が発射されていましたが、夜間飛行に影響するため、後に中止されました。

所有者の変遷

1998年3月、東海銀行は不良債権処理のため、このビルの所有権を売却し、その後は賃借して東京本部を置いていました。2001年11月、朝日生命は経営悪化のため、東京海上火災保険の生保子会社との合併を発表しましたが、意見相違などから合併は白紙となりました。その後、朝日生命は自主再建のため、西新宿の本社ビルを売却し、2004年12月にこのビルに本社を移転。2006年には、東海銀行が売却した持ち分を買い戻しています。

しかし、リーマン・ショックによる株価下落により、再び財務基盤が悪化した朝日生命は、2009年3月にこのビルを三菱地所の特別目的会社に売却。この売却が、後に三菱地所主導による再開発「TOKYO TORCH」のきっかけとなりました。

再開発

三菱地所は、常盤橋地区の朝日生命大手町ビル、日本ビル、JXビル、JFE商事ビル、大和呉服橋ビルの土地の権利を、大手町一丁目の日本政策投資銀行・公庫ビル・新公庫ビルが建つ街区の権利と交換しました。その街区には31階建てのオフィスビルと17階建てのホテルが建設され、常盤橋地区にはTorch Tower、常盤橋タワー、銭瓶町ビルディングが建設されました。特に、朝日生命大手町ビルの跡地には、Torch Towerが建設されることになりました。

この再開発に伴い、朝日生命大手町ビルは2022年10月から清水建設によって解体されています。

入居していた企業等

朝日生命大手町ビルには、以下のような企業が入居していました。

朝日生命保険：2020年9月に四ツ谷駅前の「YOTSUYA TOWER」に移転。
日本交通公社：2016年8月に南青山の自社ビルに移転。
全国銀行協会：2021年2月にみずほ丸の内タワーに移転。
信越化学工業：2021年10月に丸の内永楽ビルディングに移転。
* APAMAN：2022年8月に丸の内トラストタワーN館に移転。

まとめ

朝日生命大手町ビルは、その長い歴史の中で、東京のビジネスシーンの一端を担ってきました。しかし、再開発という時代の流れの中で、その役割を終え、新たなランドマークであるTorch Towerへと生まれ変わります。このビルがかつて存在したことを記憶にとどめ、新たな発展を見守りたいものです。

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