東光院 (豊中市)

東光院：歴史と自然が織りなす「萩の寺」

大阪府豊中市に位置する東光院は、曹洞宗に属する寺院です。境内には数多くの萩が植えられており、「萩の寺」という愛称で親しまれ、毎年9月には美しい萩を鑑賞できる「萩まつり」が開催されます。

歴史の重み：創建から現代まで

東光院の歴史は古く、奈良時代の天平7年（735年）、行基が現在の大阪市北区中津付近で火葬の技術を伝授したことに始まります。この地は以前、「浜の墓」と呼ばれ、死者を川辺に捨てる場所であったと言われています。行基は自ら薬師如来像を刻み、萩を供えたことが東光院の起源とされています。当初は薬師堂と呼ばれていましたが、延宝9年（1681年）に霊全和尚が入寺し、曹洞宗に改宗、東光院と改名されました。

その後、一度は衰微しましたが、文化年間（1804年～1818年）に殿村平右衛門と中原庄兵衛らの寄進によって再興、一時「南の四天王寺、北の東光院」と謳われるほど栄えました。明治時代には、廃社となった川崎東照宮の建物や仏像が移築され、さらに豊臣秀吉ゆかりの道了大権現堂も移転してきます。その後、阪急電鉄の小林一三による宅地開発に伴い、現在の地に移転し、地域の核として発展を遂げました。

昭和・平成と時代を経て、スリランカからの仏舎利や仏足石などの寄贈を受け、阪神・淡路大震災からの復興を経て、現代にいたります。

こより観音と貴重な仏像

東光院には、新西国三十三箇所第12番札所の本尊である十一面観音立像（通称「こより観音」）が安置されています。これは後醍醐天皇の菩提を弔うため、南朝の女官たちが制作したと伝えられています。1985年の修理で、衣として法華経の料紙を「こより」にしたことが判明し、全国的にも珍しい仏像として注目されています。本堂には、薬師如来坐像をはじめ、平安時代の重要文化財である木造釈迦如来坐像など貴重な仏像が数多く安置されています。

見どころ満載の境内

東光院の境内には、本堂をはじめ、庫裏、大書院、道了大権現堂、東照閣仏舎利殿（豊中市指定有形文化財）、吉祥林永代塔、毘沙門堂、三十三観音堂、方丈「不識庵」、正岡子規や高浜虚子などの句碑などが点在しています。

特に美しいのは、北大路魯山人によって命名された「萩露園」と呼ばれる庭園です。萩が咲き誇るこの庭園は、大阪みどりの百選にも選定されており、訪れる人々を癒やします。

アクセス

東光院へのアクセスは、阪急宝塚本線曽根駅から徒歩約300mです。

まとめ

東光院は、歴史、文化、そして自然が融合した魅力あふれる寺院です。萩の美しさ、貴重な仏像、そして静寂な庭園など、訪れる人々に様々な感動を与えてくれるでしょう。大阪を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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