東公平

東公平

東公平（ひがし こうへい、1933年 - ）は、日本の将棋観戦記者であり、同時にチェスプレーヤーとしても知られる人物です。兵庫県神戸市に生まれ、将棋とチェスの両分野で独自の足跡を残しました。

来歴

幼少の頃から将棋に親しみ、木見金治郎九段に師事。棋士を目指し灘高等学校を中退後、上京して梶一郎九段門下で奨励会に入りますが、初段で退会しました。その後、日本将棋連盟職員を経て、朝日新聞社と観戦記者契約を結び、「紅」のペンネームで数多くの観戦記を執筆しました。

チェスプレーヤーとしての顔も持ち、旧日本チェス連盟（現在の日本チェス協会とは無関係）が活動していた時代に、日本チェス連盟チャンピオンに輝きました。日本チェス協会設立時には発起人となり、1969年にはシンガポールオープンの日本チェス協会代表、1970年には西ドイツのジーゲンで開催された第19回チェス・オリンピアードの日本チェス協会代表を務めるなど、国際舞台でも活躍しました。さらに、郵便チェスオリンピックやニューヨークのワールドオープンにも参加しています。

1987年には、河口俊彦らと共に「将棋ペンクラブ」を創設し、副会長として活動。1996年には、『升田幸三物語』で将棋ペンクラブ大賞・著作部門大賞を受賞しました。

1999年には、港区白金のマンションを会場に、チェスを通じた交流を目的とした『白金チェスクラブ』を結成。「タイ・ラミーの会」のメンバーを中心に、ジャック・ピノー、竹本尚子、小笠誠一らをゲストに招き、親睦を深めました。

2004年4月には指導棋士四段の資格を取得し、江東区へ転居後、深川棋遊会の会長として将棋の普及活動に尽力しています。

2008年3月には、長年携わってきた名人戦および達人戦の観戦記者活動を終えました。

2009年4月10日、第67期名人戦七番勝負第1局の2日目、観戦記者として記録係の隣に座っていた際、対局中の羽生善治名人に白い扇子とペンを差し出しサインを求めました。羽生名人は考慮中であったにもかかわらず、この依頼に応じました。この一連の出来事はNHK BS2で生放送されましたが、後に主催者から厳重注意を受ける事態となりました。

著書

東公平は、将棋とチェスに関する著書を多数執筆しています。

単著

名人戦名局集 : 思い出の観戦記 3 弘文社 1974
ヒガシコウヘイのチェス入門 定跡編 河出書房新社、1975
名棋士名局集 : 将棋あれこれ 弘文社、1975
チェス・マスター・ブックス 4 チェス次の一手 河出書房新社、1976
阪田三吉血戦譜1〜3 大泉書店、1978〜1979
升田幸三熱戦集 : A級順位戦観戦記より 上下 大泉書店、1979
熱闘!100番勝負 将棋・珍プレー好プレー 朝日ソノラマ、1996.5
升田幸三物語 日本将棋連盟、1996.10 のち角川文庫
近代将棋のあけぼの 河出書房新社、1998.2
升田式石田流の時代 最強将棋塾DX (東公平コレクション) 河出書房新社、2000.9
名人は幻を見た 最強将棋塾DX (東公平コレクション2) 河出書房新社、2000.10
ヒガシコウヘイのチェス入門 定跡編 河出書房新社 2010
チェス・マスター・ブックス 4 チェス次の一手 東公平 著 新装版 河出書房新社 2010
ヒガシ・コウヘイのチェス入門 : 定跡から手筋・実戦まで世界でいちばんわかりやすい入門書! 定跡編 東公平 著 河出書房新社 2021
チェス次の一手111題 東公平 著 河出書房新社 2021 (KAWADE CHESS LESSONS)

共著

朝日アマ将棋名人戦 第1回 木本書店、1980.1
朝日アマ将棋名人戦 第2回 木本書店、1980.3
朝日アマ・プロ角落戦 第1回 木本書店、1980.6
朝日アマ将棋名人戦 第3回 木本書店、1981.3
朝日アマ将棋名人戦 第4回 木本書店、1982.4
朝日アマ・プロ角落戦 第2回 木本書店、1982.10
朝日アマ・プロ角落戦 第3回 木本書店、1982.10

翻訳書

ボビーフィッシャーのチェス入門 ボビー・フィッシャー 河出書房新社、1974
ボビー・フィッシャーの究極のチェス ブルース・パンドルフィーニ 河出書房新社、1995.10
* ボビー・フィッシャーのチェス入門 ボビー・フィッシャー 著,東公平 訳 河出書房新社 2010

家族・親族

童話作家の東君平は弟、絵本作家の東菜奈は姪（君平の娘）、ジャーナリストの東晋平は甥（君平からみても甥）にあたります。また、金子金五郎九段の娘と結婚し2女をもうけましたが後に離婚。その後、池田京子と再婚しています。

人物

将棋とチェスの両分野に精通し、観戦記者、プレーヤー、指導者として多岐にわたる活動を展開。その情熱と才能は、多くの人々に影響を与え続けています。

もう一度検索