東北貨物線

東北貨物線：首都圏の鉄道輸送を支える大動脈

東北貨物線は、東京都北区の田端駅（田端信号場駅）から埼玉県さいたま市の大宮駅間を結ぶ、JR東日本東北本線の一部区間の通称です。元々は貨物列車専用の線路として敷設されましたが、現在は湘南新宿ラインや東武線直通特急「日光」「きぬがわ」などの旅客列車も走行しています。

歴史と役割

東北貨物線は、国鉄時代の1984年に定期旅客列車の運行が開始されるまで、主に貨物輸送を担っていました。都市化の進展に伴い、東京近郊の鉄道輸送需要が増大したため、線路容量を増やす目的で建設されました。これにより、従来の旅客線と貨物線を分離し、効率的な運行が可能となりました。

かつては秋葉原駅と王子駅を結ぶルートが主要でしたが、山手線の複々線化に伴い、線路の付け替えが行われました。昭和期には武蔵野線が開業し、東北・信越方面からの貨物列車は、大宮駅を経由して武蔵野線、東海道線、総武線方面へと向かうようになり、東北貨物線の走行列車数は減少しました。

しかし、国鉄時代に設定された東北本線・高崎線の中距離電車が、JR発足後に池袋駅まで乗り入れるようになり、2001年には湘南新宿ラインが新設されると、東北貨物線は再び重要な旅客輸送路としての役割を担うようになりました。

線路構成

東北貨物線は、田端信号場駅構内で山手貨物線と合流し、田端信号場駅付近から王子駅付近までは、東北本線の電車線（京浜東北線の線路）と合わせて複々線を構成します。王子駅付近から北浦和駅付近までは、電車線に加えて列車線（宇都宮線・高崎線列車の線路）と合わせて6線となり、さらに北浦和駅付近から大宮操車場間では武蔵野線大宮支線も加わり、8線となります。

大宮駅構内では、上り線と下り線で線路の分岐・合流が異なります。下り線は大宮駅の北側で高崎線方面と分岐して宇都宮線下り線と合流し、上り線は大宮駅の南側で宇都宮線上り線から分岐して高崎線上り線からの分岐線と合流します。

現在の運行状況

現在は、JR貨物が東北・信越方面と東京・東海・山陽・九州方面を結ぶ貨物列車を運行しているほか、JR東日本が湘南新宿ラインや東武線直通特急を運行しています。

主な運行列車は以下の通りです。

貨物列車：東北本線、高崎線・上越線貨物列車（隅田川駅・東京貨物ターミナル駅等発着）、武蔵野線経由貨物列車（川崎貨物駅・東京貨物ターミナル駅・千葉貨物駅等発着）
湘南新宿ライン
特急列車：日光、きぬがわ、スペーシア日光、スペーシアきぬがわ、あかぎ、スワローあかぎ
大宮駅 - 武蔵野線大宮支線 - 武蔵野線直通列車：むさしの号、しもうさ号

主な出来事

1927年：田端駅 - 王子駅間が開業
1932年：田端駅 - 大宮駅間の貨物線が全線開業、同区間の貨客分離が完了
1984年：赤羽駅 - 大宮駅間で、平日朝ラッシュ時に東北本線・高崎線の中距離電車の乗り入れを開始
2001年：池袋発着列車の運転系統が拡大され、東海道本線・横須賀線への直通運転開始（湘南新宿ライン）
* 2013年：浦和駅の貨物線上に旅客ホームを新設

今後の展望

東北貨物線は、首都圏の鉄道ネットワークにおいて、貨物輸送と旅客輸送の両面で重要な役割を果たしています。今後も、都市の発展や社会の変化に対応しながら、その役割を変化させていくことが期待されます。

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