東北院

東北院（とうほくいん）

東北院は京都市左京区にある時宗の寺院で、雲水山と称され、その本尊は弁財天です。この寺院は、かつて法成寺に付属していた天台宗の寺院でしたが、長い歴史の中で様々な変遷を経て、今日に至っています。

歴史の歩み

東北院の創設は、藤原道長の娘である国母上東門院の発願によります。彼女は道長が遺した法成寺の東北部分に、常行三昧堂を建立しました。上東門院はこの寺を晩年の住まいとして使用し、そのため「東北院」という別称がつきました。また、上東門院の母が建立した常行三昧堂が法成寺の西北にあったことから、東に位置するこの寺院は「東北院」と名付けられました。

1030年には、東北院の完成を祝う供養法会が行われ、藤原実資がその規模に驚いています。その後、上東門院はここに居住し、1050年には彼女の孫である後冷泉天皇が東北院を訪れました。さらに、東北院の設立と同時期に、専意法尼のために誠心院が道長によって建立されました。

1058年、法成寺で火災が発生し、東北院も全焼しました。そのため、教義を守るために寺院は法成寺の北側に移転して再建され、1061年に再建供養が行われました。この頃の東北院は平安京の東北角に位置していたとされ、現在の京都市上京区付近に再定義されています。1064年には後冷泉天皇が新たに再建された東北院に行幸しています。

後の時代、1171年には再び火災に見舞われたものの、この年中に再建され、臨済宗の念仏会が京都の風物詩となりました。その後の時代、様々な火災や戦乱を乗り越え、東北院はその存在意義を保ち続けました。江戸時代初期には、既に時宗の寺院としての地位を確立していました。1692年には火災後に移転し、現在地に定まります。

現在の東北院

現在の東北院は、後西院の筆による「東北院」の勅額が本堂に掲げられ、弁財天が本尊として安置されています。また、境内には和泉式部が植えたとされる梅が存在し、その梅の伝説は能や謡曲にまで影響を与えており、今でも多くの人々に語り継がれています。このように、東北院は歴史的な価値を持ち続け、多くの文化財や歴史的文献が伝えられています。

境内には本堂のほか、庫裏や雲井水、藤原道長の供養塔、和泉式部の供養塔、山門などがあり、その静かな環境は訪れる人々に安らぎを与えています。さらに、後一条天皇菩提樹院陵が正面に位置し、その周囲には貴族や著名人たちが係った歴史も感じ取ることができる場所です。東北院は、その寺としての役割だけでなく、文化的な交流の場ともなっています。

参考文献

• - 『日本歴史地名大系 27 京都市の地名』（平凡社、1979年）
• - 『角川日本地名大辞典 26-1 京都府』（角川書店、1982年）
• - 五島邦治「東北院」2 『平安時代史事典』（角川書店、1994年）

関連項目

• - 殿下渡領
• - 誠心院
• - 真如堂真正極楽寺
• - 法成寺
• - 廬山寺

このように、東北院は歴史、文化、信仰という多面的な側面を持ちながら、今日も多くの人々に親しまれる寺院となっています。

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