東名酒匂川橋

東名酒匂川橋について

東名酒匂川橋（とうめいさかわがわばし）は、神奈川県の足柄上郡山北町に位置する、東名高速道路上の重要な橋梁です。この橋は酒匂川に架かっており、全長は約750メートル。特徴的な朱色の塗装が施された曲線連続鋼トラス構造で、1970年に完成しました。

橋の概要と歴史

東名酒匂川橋は、元々1969年に上下線で各2車線の2本の橋が並列している形で建設されました。しかし、1991年には拡幅工事が行われ、上り線の橋が南側に新たに設置されたため、現在では両方の橋が下り線専用となっています。この橋は、下り線が都夫良野トンネルを出た直後に位置し、周囲には神奈川県道727号川西線や国道246号、さらに神奈川県道76号山北藤野線が並走しています。また、橋の先ではJR御殿場線のトンネルとも交差します。

橋脚は鉄筋コンクリート製で、高さは65メートル、直径は7メートルに達します。この構造は、開通当時において東洋一の高さを誇り、記念切手にも描かれるほどの存在感を示しました。1990年度には、東京寄りに架かる東名皆瀬川橋とともに「かながわの橋100選」に選定されています。さらに2002年には、支承改良工事が行われ、強度と耐久性が向上されました。

橋の構造と工事の概要

東名酒匂川橋が架かる区間は、非常に山岳地帯に位置し、地形は急峻であるため、工事は非常に難航しました。この橋は、日本初のカーブ橋であり、長さ724メートルの橋桁が優美な曲線を描いています。しかし、酒匂川の地質は軟弱であり、工事の難しさを増していました。基礎工事にはケーソン工法が用いられ、当初は14メートルで十分と考えられていた掘削深度が、実際には20メートルに達しないと岩盤に到達できないという難題がありました。さらに、支障する水の流れがあったため、工事は厳しく進行しました。

基礎の上に建設された8本のコンクリート製橋脚は、1968年に耐震実験を行った際に国内でも2例目の公開実験として注目を集めました。この実験では、橋脚の一つに5トンのロケットを取り付け、そのショックと振動を測定しました。また、上部工の架設にはカレンチバーエレクション工法が採用され、全体にわたる精密な作業が必要でした。工期はおよそ半年で、2600トンにも及ぶ重量物が空中に積み上げられるという、非常に壮大な工事となりました。

このように、東名酒匂川橋はその美しいデザインと技術的な挑戦を背景に、重要な交通路の一部として多くの人々に利用されています。おそらく、今後もその役割を果たし続けることでしょう。

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