東大阪市市歌

東大阪市市歌

「東大阪市市歌」は、大阪府東大阪市が公式に定めた自治体の歌です。

この市歌は、1967年（昭和42年）2月1日に東大阪市が誕生した際に制定されました。東大阪市は、それまで存在した布施市、河内市、枚岡市の3市が合併して成立した自治体です。市歌の制定は、この記念すべき合併事業の一環として行われました。

作詞は上出満氏、作曲は著名な指揮者・作曲家である外山雄三氏が手掛けています。

市歌の選定にあたっては、単に内部で決定するのではなく、広く市民から歌詞を募る懸賞募集方式が採用されました。この募集とそれに続く審査プロセスは、NHK大阪放送局に委託される形で行われました。結果として、実に174篇もの応募作品の中から、東大阪市の新たなシンボルにふさわしい歌詞が選ばれました。

採用された歌詞が評価された理由としては、いくつかの点が挙げられています。まず、東大阪市が持つ独自の特色や、その土地ならではの「郷土のにおい」が豊かに表現されていること。そして、歌詞全体がよく構成されており、覚えやすさ、メロディーが付けやすい作曲のしやすさといった実用性も兼ね備えていること。さらに、広く市民に親しまれる万人向けの歌詞でありながら、市の式典など公式な場でも違和感なく歌える品格と幅広さを持っている点が重視されました。

興味深いことに、合併する前の3市のうち、市歌を制定していたのは布施市だけでした。新しい東大阪市の歌を作ることで、合併によって生まれた新たな共同体意識を育む狙いもあったと考えられます。

東大阪市に関連する楽曲は市歌だけにとどまりません。市歌の制定から数年後の1971年（昭和46年）10月には、市民が親しめるようにと市民音頭「東大阪市音頭」が選定されています。こちらは足立万里氏が作詞を、鈴木量視氏が作曲を担当しました。

さらに時代は下り、東大阪市が中核市に移行したことを記念して、2005年（平成17年）にはイメージソングが制作されました。この楽曲『東大阪めっちゃ元気な「まち」やねん』は、市民の活気やまちの魅力を表現しており、作詞を南英市氏、作曲を音楽プロデューサーのつんく♂氏が手掛け、多くの人々に知られることとなりました。

これらの楽曲群は、東大阪市の歴史的な節目や市民のアイデンティティ形成において、それぞれ異なる役割を果たしています。中でも「東大阪市市歌」は、市の誕生という最も根本的な出来事を記念し、現在まで歌い継がれている公式ソングとして、特別な位置づけにあると言えるでしょう。

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