外山雄三

外山雄三

外山雄三（とやま ゆうぞう、1931年5月10日 - 2023年7月11日）は、日本の指揮者、作曲家。
東京市牛込区（現在の東京都新宿区）出身。音楽家の家庭に生まれ、父は声楽家の外山國彦、兄はカントリー&ウエスタン演奏家の外山寛、弟は声楽家・合唱指揮者の外山浩爾。

生涯

1944年、東京高等師範学校附属国民学校（現在の筑波大学附属小学校）を卒業。1947年には東京高等師範学校附属中学校（現在の筑波大学附属中学校・高等学校）を卒業。1948年、東京音楽学校（現在の東京芸術大学音楽学部）本科作曲科に入学し、作曲を下総皖一、ピアノを田村宏に師事。1952年に同校を卒業後、NHK交響楽団に打楽器練習員として入団しました。

1953年、作曲家の林光、間宮芳生とともに「山羊の会」を結成し、1958年まで作品発表を行いました。1956年に指揮者としてデビュー。1958年から1959年にかけてウィーンやザルツブルクへ留学し、研鑽を積みました。

帰国後は、大阪フィルハーモニー交響楽団の専属指揮者、京都市交響楽団の常任指揮者、名古屋フィルハーモニー交響楽団の音楽総監督・常任指揮者を歴任。仙台フィルハーモニー管弦楽団と神奈川フィルハーモニー管弦楽団では音楽監督を務めました。また、NHK交響楽団の正指揮者（終身職）を尾高忠明とともに担当しました。2015年3月まで愛知県立芸術大学で客員教授を務めました。

作曲家としても活発に活動し、数多くの作品を発表しました。受賞歴も多数あり、東京国際音楽コンクール＜指揮＞、チャイコフスキー国際コンクール、聖チェチーリア音楽院国際指揮者コンクールなど、国内外の著名なコンクールで審査員も務めました。

2016年には大阪交響楽団のミュージックアドバイザー、2020年には名誉指揮者に就任。2023年5月末、パシフィック・フィルハーモニア東京の公演を指揮中に体調を崩し降板。同年7月11日、慢性腎臓病のため長野県内の自宅で死去。92歳でした。

人物

テレビ番組にも多数出演し、1980年代には『ファンタスティック・オーケストラ』、『名フィルミュージック・ドリーム』、『外山雄三 音楽・世界の旅』などの番組で司会を務めました。1995年には、愛知県立芸術大学と中国の学生が外山指揮の下、「千人の交響曲」を合同演奏するまでのドキュメンタリーが中京テレビで制作され、全国放送されました。晩年はNHK-FM放送の番組「FMシンフォニー・コンサート」で、名古屋からの放送日にパーソナリティを務めていました。

政治や社会情勢にも深い関心を持ち、日本国憲法第9条や『あたらしい憲法のはなし』に曲をつけた合唱曲も発表しています。著書『オーケストラは市民とともに』では、日本フィルハーモニー交響楽団の労働争議を描いています。また、「平和のための戦争展」の呼びかけ人を西田敏行、山田洋次、黒柳徹子らとともに務めていました。

主な作品

外山雄三は、管弦楽、室内楽、合唱など、多岐にわたるジャンルの作品を手がけました。
以下に主な作品を記します。作品の欧題は楽譜によります。

舞台作品

バレエ「幽玄」 - 組曲版あり

管弦楽・吹奏楽

小交響曲（1953年）
子守歌（1953年）
序奏とアレグロ（1955年）
合奏協奏曲（1957年）
室内交響曲（1958年）
五木の子守唄（1960年）
管弦楽のためのラプソディ（1960年）
ピアノ協奏曲第1番（1961年）
ディヴェルティメント（1962年）
管弦楽のための鹿柴（1962年）
ヴァイオリン協奏曲第1番（1963年）
ピアノ協奏曲第2番（1963年）
沖縄民謡によるラプソディ（1964年）
管弦楽のための『序』（1964年）
管弦楽のための『鬨』（1965年）
交響曲第1番『帰国』（1966年、1978年改訂）
バレエ組曲『幽玄』（1966年）
管弦楽のための『鬨』その二（1966年）
クラリネットと弦楽合奏のための協奏曲（1966年）
ヴァイオリン協奏曲第2番（1966年）
チェロ協奏曲第1番（1967年）
日本民謡によるオーケストラ入門（1968年）
混声合唱と弦楽のための『おふくろ』（1968年）
万華鏡（1968年）
混声合唱と弦楽合奏のための組曲『へんじ』（1969年）
カンタータ『京都』（1970年）
交響曲『炎の歌』（1970年）
管弦楽のためのエコー（1972年）
前奏曲（1973年）
オーボエと弦楽合奏のための協奏曲（1973年）
交響組曲『祇園祭』（1974年）
ホルン協奏曲第1番（1975年）
東北の民謡による二章（1975年）
交響曲『風雪』（1977年）
九州の民謡による4楽章（1979年）
奈良ばやしによる前奏曲（1979年）
熊本の幻想（1980年）
チェロ協奏曲第2番（1982年）
ファゴットと弦楽合奏、パーカッションのための協奏曲（1982年）
交響詩『まつら』（1982年）
独唱、混声合唱と管弦楽のための組曲『永遠のみどり』（1982年）
ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲（1983年）
京都幻想（1983年）
交響曲『名古屋』（1984年）
カンタータ『もし私たちが……』（1984年）
ピアノ協奏曲―1984―（1984年）
ヒロシマのみどり（1985年）
フルートとハープと弦楽合奏のための幻想曲（1985年）
こもりうた（1986年）
フルートと弦楽合奏のための協奏曲（1986年）
交響曲『五月の歌』（1987年）
交響連歌『この八月に』（1988年）
シンフォニック・スケッチ『相馬盆踊唄』（1988年）
フルートとオーケストラのための幻想曲（1989年）
シンフォニア・スケッチ第4番『搗臼唄』（1989年）
弦楽のための前奏曲（1990年）
弦楽のためのシンフォニア（1990年）
シンフォニア・スケッチ第7番『こんぴらふねふね～よさこい節』（1990年）
シンフォニア・スケッチ第9番『麦さがし』（1990年）
交響詩『円山川』（1990年）
ノールショピング交響楽団のためのプレリュード（1991年）
ハープ協奏曲（1992年）
交響的『石川』（1992年）
交響曲『但馬』（1995年）
境港幻想（1995年）
仙台フィルハーモニー管弦楽団のための『１』（1996年）
連作『縄文』（1996年）
交響詩『かもがわ』（1996年）
交響曲第2番（1999年）
新しい行進曲（吹奏楽）
交響曲第3番（2001年）
交響曲『あきた』（2002年）
交響曲第4番〜Tief in den Urwald,weit aufs Weltmeer〜（2003年）
交響曲（2018/2019年）

室内楽

フルート・ソナタ（1949年）
3つの性格的断片（1950年）
ピアノのためのバーレッタ（1951年）
フルート、クラリネット、ファゴット、ピアノのためのパルティータ第3番（1952年）
チェロとピアノのためのこもりうた（1953年～1954年）
2台のピアノのためのパルティータ第4番（1954年）
弦楽四重奏、打楽器、ピアノのための組曲（1955年）
弦楽四重奏曲（1955年）
もずが枯れ木で（1956年）
フルート、チェロ、ピアノのための三重奏曲（1958年）
チェンバロのための幻想曲（1961年）
ヴァイオリンとピアノのための日本民謡による組曲（1962年）
セレナータ・マリンバーナ（1962年）
ピアノのための幻想曲（1962年）
クラリネット、弦楽合奏、ピアノのための幻想曲（1963年）
ヴァイオリン・ソナタ（1964年）
ヴィブラフォンとピアノのためのこもりうた（1964年）
弦楽四重奏のための『倶在』（1965年）
弦楽合奏のための嬉遊曲（1965年）
サクソフォンとピアノのためのセレナーデ（1966年）
弦楽四重奏のための祝典組曲（1970年）
ヴァイオリンとピアノのための『メディテーション』（1970年）
地球、光りなさい（1971年）
成田繪智子のための『かくも長き不在』（1972年）
秋…17絃のための（1973年）
ヴァイオリンとピアノのための『広島のうた』（1975年）
せむしの仔唄（1976年）
ホルンのためのやさしい音楽（1977年）
トリオ・ソナタ（1979年）
10人の奏者のための「SENRI」（1979年）
唐津おくんちによる幻想曲（1980年）
ピアノのための幻想曲（1981年）
弦楽合奏のためのファンタジア（1982年）
ホルンとピアノのための5つの抒情歌（1982年）
チェロとピアノのための『広島のうた』（1983年）
フルート・ソナタ（1983年）
行進曲『躍動』第1番（1984年）
行進曲『躍動』第2番（1984年）
松永勇次讃（1984年）
千葉馨のためのオーケストレーション『濱辺のうた』（1984年）
ヴァイオリンとピアノのための幻想曲（1984年）
ハープのための幻想曲（1986年）
クワルテット・チューバ（1987年）
ファゴット・ソナタ（1987年）
6本のホルンのための『パッサ・テンポ』（1989年）
ユーフォニアムとチューバのための6声部のエッセイ（1990年）
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ（1991年）
ヴァイオリンとピアノのための『変容』（1992年）
弦楽四重奏のための小品（1995年）
オーボエとピアノのための『京の子守うた』（1996年）
パルティータ第3番（フルート、クラリネット、ファゴット、ピアノ）
テッサ（永遠の処女）（コントラバス、打楽器、ピアノ）
荒木栄の想い出（チェロ、ピアノ）
日本組曲（金管アンサンブル）
クラリネット五重奏曲（2008年）

独唱

『一日は……』より三章
雲の祭日
花を捧げる（1977年）
新川和江の詩による歌曲集（メゾソプラノ、管弦楽）

合唱

混声合唱のための『歴落』
のぞみあらたに――明治百年頌歌
三つの大阪のうた
京都のうた
奈良のうた
子どもたちの詩による『泣くものか』
合唱組曲『空に小鳥がいなくなった日』
とむらいのあとは
日本国憲法第九条

校歌

作新学院
愛知県立名古屋南高等学校
鶴岡市立鶴岡第一中学校
福山市立大門中学校
登米市立宝江小学校
狭山市立狭山台小学校
名古屋市立旭丘小学校

映画音楽

俺たちの交響楽

著書

『音楽の風景』（新樹社、1985年）
『オーケストラは市民とともに』（岩波書店、1991年）
『聞き書き井上頼豊』（音楽之友社、1996年）

出演

FMシンフォニー・コンサート→ブラヴォー!オーケストラ（NHK-FM放送）

外部リンク

外山雄三 音楽の風景

もう一度検索