東山霊山城

東山霊山城（ひがしやまりょうぜんじょう）

東山霊山城は、京都府京都市東山区に位置する霊山（標高176m）に築かれた戦国時代の山城です。別名、霊山城とも呼ばれます。室町幕府の13代将軍・足利義輝によって築城されました。この城は、東山三十六峰の一つである霊山にあり、周辺には京都霊山護国神社、高台寺、清水寺といった著名な寺社が点在しています。また、霊山の中腹には正法寺があります。

歴史

16世紀に入ると、将軍などの公権力を持つ者が、中尾城や将軍山城のように山中に城を築く動きが活発になり、東山霊山城もその流れの中で築かれました。この城の縄張図は、「洛中洛外の城館と集落―城郭研究と首都論―」に掲載されています。

築城の背景

天文17年（1548年）、細川晴元に反旗を翻した三好長慶は、翌天文18年（1549年）の江口の戦いで勝利を収め、京都へ入ります。これにより、細川晴元と将軍・足利義輝、そしてその父である足利義晴は近江坂本へと退避せざるを得なくなりました。この状況下で、義晴・義輝父子は京都奪還を目指し、天文19年（1550年）に中尾城と将軍山城を築城・増築しました。しかし、同年11月、三好長慶率いる4万の大軍が京都に侵攻すると、義輝軍は一戦も交えずに坂本へ撤退。これらの城は自焼によって放棄されるか、三好氏によって破却されました。

その後、義輝方と三好氏の間で戦いが続きましたが、天文21年1月には和睦が成立。同年10月27日、東山霊山城の築城が開始されました。この背景には、義輝と長慶が一時的に手を結んだものの、依然として京都奪還を狙う細川晴元らの脅威が存在していたことが挙げられます。

清水坂の戦い

築城開始からわずか1ヶ月後の11月27日、細川晴元が西岡に現れ、周辺を放火。嵯峨に着陣しました。これを受け、三好方の小泉秀清と中路修理は不安を感じ、西院小泉城を自焼して東山霊山城に合流しました。翌28日、晴元は霊山城に向けて進撃を開始しました。『言継卿記』には、晴元が五条坂を焼き払い、建仁寺も炎上したと記録されています。しかし、清水坂での合戦で勝利することができず、晴元軍は東山霊山城を攻撃することなく撤退しました。

落城

築城はその後も続けられましたが、天文22年（1553年）3月8日、義輝と長慶は再び敵対。義輝は霊山城に入城しました。同年8月1日、三好勢の攻撃により落城し、城は炎上しました。この戦いは「東山霊山城の戦い」と呼ばれ、落城後、城は廃城となりました。この落城により、義輝は5年もの間、朽木に幽閉されることとなりました。

遺構

霊山の山頂を中心として、東、西、南の三方向に曲輪が展開しています。東側に二箇所、南側に一箇所の堀切が確認されています。城址へは、東側の京都一周トレイルからアクセス可能です。正法寺、高台寺、興正寺、清水寺など、周辺寺院の影響により遺構の多くが破壊されたと考えられています。西側の曲輪には、「春畝伊藤公遺詩碑」が建てられています（「春畝伊藤公」は伊藤博文のこと）。

城跡へのアクセス

電車でのアクセス

• - 京阪本線 清水五条駅

参考文献

今谷明『戦国時代の貴族』講談社、2002年。
京都大学考古学研究会「東山霊山城について」『第53とれんち』2012年。
福島克彦「洛中洛外の城館と集落――城郭研究と首都論――」高橋康夫編『中世のなかの「京都」』新人物往来社、2006年。
戦国合戦史研究会編著『戦国合戦大事典 六 京都・兵庫・岡山』P139 - P140、新人物往来社、1989年。
長江正一『人物叢書 三好長慶』P120 - P135、吉川弘文館、1968年（新装版、1989年4月）。ISBN 978-4-642-05154-5
今谷明『戦国三好一族 天下に号令した戦国大名』P169 - P182、洋泉社、2007年。
福島克彦『戦争の日本史11 畿内・近国の戦国合戦』P105 - P108、吉川弘文館、2009年。

関連項目

日本の城一覧
日本の合戦一覧
細川政権 (戦国時代)
* 三好政権

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